高血圧(こうけつあつ:hypertension)その数値、脳が我慢しています

高血圧とは「症状がない」うちに進むのが最大の落とし穴

高血圧は、血圧が高い状態が続く病気です。まず、どのくらいで「高血圧」とされるのかを見てみましょう。診察室(病院)で140/90 mmHg以上、または家庭で135/85 mmHg以上が続くと、高血圧と診断されます2。その手前の「高値血圧」も、すでに注意が必要な段階です。

分類 診察室血圧 家庭血圧
高血圧 140/90mmHg 以上 135/85mmHg 以上
高値血圧 130–139または 80–89 mmHg 125–134または 75–84 mmHg
正常高値血圧 120–129かつ 80 未満 mmHg 115–124かつ 75 未満 mmHg
正常血圧 120/80mmHg 未満 115/75mmHg 未満

色は上ほど注意が必要な段階を表します(赤=高血圧/緑=正常血圧)。「高値血圧」「正常高値血圧」も安心の値ではなく、めざすのは「正常血圧」です。日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」による分類2。数値は表を左右にスクロールしてご覧いただけます。

自覚症状の乏しさ「症状がない=軽い」ではありません

高血圧は、ほとんど自覚症状がないのが特徴です。頭痛や肩こりで気づくとは限らず、多くの方は健診の数値ではじめて指摘されます。だからこそ「症状がないから大丈夫」と放置されやすいのですが、症状がない間にも血管の傷みは進んでいます。「症状がない=軽い」ではありません。

こんな方は、一度きちんと血圧を確かめてみてください

ひとつでも当てはまる方は、家庭での血圧測定と受診をおすすめします。当院でも血圧の相談・検査ができます。

放置するとどうなるか脳出血・脳梗塞・認知症、そして心臓・腎臓へ

高血圧の本当の怖さは、症状がないまま全身の血管を傷め続けることにあります。自覚症状が乏しいまま進むため、気づかないうちに脳出血や脳梗塞につながることがあります。

脳卒中との関係

高血圧は脳出血の最大の原因であり、脳の細い血管が詰まる脳梗塞(特にラクナ梗塞)とも深く関わる、脳卒中の最も大きな危険因子です1。一方で、血圧は下げるほど脳卒中が減ることも分かっていて、上の血圧が 10 mmHg 下がるごとに脳卒中はおよそ 25 % 少なくなると報告されています3

認知症との関係

中年期の高血圧は将来の認知症のリスク因子の一つでもあります4。高血圧は、治療によって認知機能の低下がおさえられることが示されている数少ない病気で56、地域ぐるみで血圧を下げた研究では認知症そのものが約 15 % 少なくなりました7

脳との関わりをもっと詳しく知りたい方は、生活習慣病と脳のページや、脳出血脳梗塞のページもあわせてご覧ください。

家庭血圧の測り方診察室の一度きりより、毎日の数字が大切です

家庭で測る血圧は、とても大切です2。診察室では緊張で高く出る方もいて、毎日の暮らしの中での血圧のほうが、脳や心臓へのリスクをよく映すためです。次のポイントを押さえると、正確に測れます。

家庭での血圧の正しい測り方を示すイラスト。イスに座り、足を床につけ、上腕に血圧計のカフを巻いて、腕を心臓の高さに合わせて測っている様子。「腕は心臓の高さ」「足は床につける」などのポイントが添えられている。
  1. 朝:起きて 1 時間以内に トイレをすませ、朝の薬を飲む前、朝食前に測ります。イスに座って 1〜2 分ほど落ち着いてから測りましょう。
  2. 夜:寝る前に 入浴・飲酒の直後は避け、寝る前に座って落ち着いてから測ります。朝と夜の 1 日 2 回が基本です。
  3. 測り方のコツ 上腕で測るタイプがおすすめです。カフ(腕帯)は心臓の高さに合わせ、脚を組まずに測ります。1 回の機会に 2 回測って平均をとると安定します。
  4. 記録して持参する 毎日つづけて記録し、受診時にお持ちください。1 回高くても慌てず、「日々の平均」で判断することが大切です。

血圧の目標ガイドライン(JSH2025)の考え方

多くの方がめざす血圧の目安は、次のとおりです。年齢を問わず、この値を目標にします2

診察室でめざす血圧 家庭でめざす血圧
130/80mmHg 未満 125/75mmHg 未満

治療(生活改善とお薬)まず生活の見直し、必要に応じてお薬を組み合わせます

高血圧の治療は、生活習慣の見直しが土台です。その上で、生活改善だけでは十分に下がらない場合や、脳・心臓・腎臓を守る必要が高い場合に、お薬(降圧薬)を組み合わせます2

気になるカードをタップすると詳しい説明が開きます

① いちばんの土台

減塩

塩分のとりすぎは血圧を上げる大きな原因です。1 日の食塩は6 g 未満が目標です。

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日本人は塩分をとりすぎる傾向があります。汁物・麺類の汁・加工食品・漬物に塩分が多く含まれます2。完璧を目指さず、できることから一つずつで十分効果があります。

  • 汁物・味噌汁は 1 日 1 杯に
  • 麺類の汁は残す
  • しょうゆ・ソースは「かける」より「つける」
② 食事のもう一工夫

野菜・果物(カリウム)

野菜・果物・海藻・豆類などに含まれるカリウムは、余分な塩分(ナトリウム)を体の外に出すのを助けます。

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減塩とあわせて、野菜・果物を意識してとることがすすめられています2。ただし、腎臓の働きが低下している方はカリウムのとりすぎに注意が必要です。必ず主治医に相談してから増やしてください。

  • 野菜・果物・海藻・豆類を毎日
  • 腎臓が悪い方は自己判断で増やさない
③ 体と生活を整える

運動・減量・節酒・禁煙

適正体重・適度な運動・お酒を控えめに・禁煙。いずれも血圧を下げ、脳と心臓を守ります。

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ウォーキングなどの有酸素運動を無理のない範囲で続けること、適正体重に近づけること、飲酒を控えめにすること、禁煙は、いずれも血圧の改善につながります2。睡眠不足やストレスも血圧に影響します。

  • ウォーキングなど、無理のない範囲で
  • お酒は控えめに・禁煙
  • 睡眠と休養も大切に
④ 必要なとき

お薬(降圧薬)

生活改善で十分下がらないとき、脳・心臓・腎臓を守る必要が高いときは、お薬を組み合わせます。

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血圧を下げるお薬にはいくつかの種類があり、体質・持病・血圧のタイプに合わせて選びます。飲み始めたら、定期的な血圧測定と採血で効果と体の状態を確かめながら調整します2。生活改善で血圧が安定すれば減らせる・中止できる方もいますが、自己判断でやめないことが大切です(くわしくは下の「よくある質問」へ)。

  • 種類は一人ひとりに合わせて選ぶ
  • 定期的な採血・血圧チェックで調整
  • 調子がよくても自己判断で中断しない

一度は「原因」を調べる治せる高血圧が隠れていることもあります

高血圧の多くは、はっきりした原因のない本態性高血圧です。ただし中には、治療で治せる原因が隠れている高血圧(二次性高血圧)があります。ホルモンの異常(副腎の病気)、腎臓の血管の狭窄、睡眠時無呼吸、一部のお薬などが原因になることがあります。

当院でできること内服・採血・血管と脳の確認・生活のご相談

当院は地域のかかりつけとして、血圧の管理から、脳を守る予防までを一緒に続けていきます。脳神経を専門とするクリニックとして、血管や脳の状態もあわせて確認できます。

  1. 内服治療と定期的な採血 お薬による血圧の管理と、採血で全身の状態(腎臓・コレステロール・血糖など)を定期的に確認します。
  2. 血管や脳の状態を確認 頸動脈エコー・MRI・CTで、動脈硬化や脳の状態を実際に確かめられます。高血圧が脳や血管にどう影響しているかを目で見て確認できます。
  3. 生活面のご相談 家庭血圧の測り方、減塩、運動など、続けられる工夫を一緒に考えます。
  4. 原因検索と専門機関へのご紹介 二次性高血圧を疑う場合は原因を調べ、専門的な検査・治療が必要なときは適切な医療機関をご案内します。

よくある質問

症状がないのに、治療は必要ですか?
A. 必要です。高血圧は自覚症状がないまま血管を傷め続け、気づかないうちに脳出血や脳梗塞につながることがあります。
  1. ① 症状がなくても血管は傷んでいます 高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれ、症状がないまま脳・心臓・腎臓の血管を傷め続けます1
  2. ② 下げておくほど脳が守られます 血圧は適切に下げるほど脳卒中が減ります3。症状がないうちに下げておくことが、将来の脳を守る近道です。
一度お薬を飲み始めたら、一生やめられないのですか?
A. 生活改善で血圧が安定し、減らせたり中止できたりする方もいます。ただし自己判断の中断は危険です。
  1. ① やめられる方もいます 減塩・減量・運動などで血圧が十分に安定すれば、お薬を減らせる・中止できる方もいます。
  2. ② 自己判断の中断は危険です 調子がよいからと勝手にやめると、血圧が跳ね上がることがあります。担当医と一緒に、血圧を見ながら調整しましょう。
家庭の血圧が、病院で測るより低い(高い)のはなぜ?
A. 診察室では緊張で上がる方(白衣高血圧)、逆に家庭でだけ高い方(仮面高血圧)がいます。だから家庭血圧が大切です。
  1. ① 白衣高血圧 病院では緊張して血圧が上がる方がいます。診察室の一度きりの値だけでは判断できません。
  2. ② 仮面高血圧 逆に、病院では正常でも家庭や早朝に高い方もいます。これは見逃されやすく、リスクが高いことが知られています。
  3. ③ だから家庭血圧が大切 家庭血圧と診察室の値をあわせて判断することで、より正確に管理できます2
上(下)だけ高いのですが、大丈夫でしょうか?
A. 上・下のどちらか一方でも高ければ高血圧として扱います。気になる値は受診時にご相談ください。
  1. ① どちらか高ければ高血圧 上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)は、どちらか一方でも基準を超えれば高血圧として扱います。
  2. ② とくに上が高いと脳卒中と関わります 年齢を重ねると上だけ高くなりやすく、これも脳卒中と強く関わります。放置せず相談してください。
減塩がどうしても続きません。
A. 完璧を目指さなくて大丈夫です。一つずつの工夫でも、血圧はしっかり下がります。
  1. ① 一つずつで十分効果があります 汁物を残す・麺の汁を飲まない・味噌汁を 1 日 1 杯に、などできることから一つずつで十分です。
  2. ② 外来で一緒に工夫を考えます 無理なく続けられる方法を、生活に合わせて一緒に考えます。迷うときは当院(0942-42-1155)にご相談ください。
お酒や運動は、どうすればよいですか?
A. お酒は控えめに、運動は無理のない範囲で習慣にするのが基本です。あなたに合った目安は診察時にお伝えします。
  1. ① お酒は控えめに 飲みすぎは血圧を上げます。適量を守り、飲まない日(休肝日)をつくりましょう。
  2. ② 運動は「無理のない有酸素運動」を ウォーキングなど、少し息が弾む程度の運動を無理のない範囲で続けると血圧の改善につながります。持病のある方は、始める前に一度ご相談ください。
冬に気をつけることはありますか?
A. あります。寒い脱衣所やトイレ、熱いお風呂は血圧が急に変わり、脳や心臓に負担がかかります(ヒートショック)。
  1. ① 急な温度差に注意 暖かい部屋から寒い脱衣所・トイレへ移ると、血圧が急に上がります。とくにご高齢の方は注意が必要です。
  2. ② できる工夫 脱衣所やトイレを暖める、湯温を熱くしすぎない・長湯を避ける、飲酒後すぐの入浴を避ける、といった工夫で負担を減らせます。

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つつみ脳神経外科クリニック
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