顔面神経麻痺(ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群)中枢性と末梢性を見分けて、早く治療を始める
⚠ 額のしわ寄せができる/手足の麻痺を伴う方はこちら(中枢性疑い)
こんな症状はありませんか?
- 突然、片側の口角が下がってきた/笑顔が左右非対称
- 片側の眼が閉じきらない/うがいで水がこぼれる
- 額に皺を寄せようとしても片側だけ動かない
- 耳の中・耳介に水疱(水ぶくれ)がある(ハント症候群を疑う)
突然の片側顔面麻痺は、ベル麻痺、ラムゼイ・ハント症候群、脳卒中のいずれかであることが多く、見分けと治療のタイミングが予後を左右します。様子を見ずに、できるだけ早く受診してください。
まず中枢性か末梢性かを見分ける緊急度を見極めるスクリーニング
顔面神経麻痺で最も大切なのは、脳卒中によるもの(中枢性)かどうかを最初に決めることです。
額のしわ寄せ
しわ寄せできるなら中枢性(脳卒中)、できないなら末梢性(ベル麻痺・ハント症候群 等)を疑います。
閉眼の可否
末梢性では閉眼ができません。「うがいで水がこぼれる」も末梢性のサインです。
手足の麻痺・呂律
手足の麻痺・呂律不良を伴うなら、中枢性(脳卒中)を強く疑い FAST として救急へ。
発症のスピード
中枢性は突然(数分〜数時間)。末梢性(ベル麻痺)は数時間〜1〜3 日でピークに達するように急性進行する経過です。
耳の症状・水疱
耳の水疱・難聴・回転性めまいを伴えばラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹性)を疑います。
両側に出ている
両側性のときはギラン・バレー症候群、サルコイドーシス、ライム病を疑います9。
代表的な末梢性顔面神経麻痺ベル麻痺とラムゼイ・ハント症候群
末梢性の片側顔面神経麻痺の大半は、原因不明のベル麻痺と、帯状疱疹ウイルスの再活性化によるラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹性顔面神経麻痺)の 2 つです。診断と早期治療の組み立てが大きく変わります。
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ベル麻痺 / 特発性末梢性顔面神経麻痺
最多
突然の片側顔面麻痺・原因不明
末梢性麻痺の60〜75%を占め、1〜3 日でピーク。発症 3 日以内のステロイド開始で予後が変わります。
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「朝起きたら片側の顔が動かない」「うがいで水がこぼれる」「目が閉じにくい」が突然出るのが典型像。無治療でも 70〜85% は完全回復します。
- 年間発症率:人口 10 万あたり 20〜30 人/年代問わず発症
- 随伴症状:耳介後部痛・味覚障害・聴覚過敏・兎眼
- 重症度評価:柳原 40 点法(点数に応じてステロイド量を調整)
- 標準治療:プレドニゾロン + 抗ウイルス薬併用も
ハント症候群 / 帯状疱疹性顔面神経麻痺
予後やや不良
耳の水疱+顔面麻痺+難聴・めまい
顔面麻痺+耳介水疱+難聴・めまいの三徴。ベル麻痺より予後不良で抗ウイルス薬の併用が必須です。
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ときに水疱が出る前に麻痺だけが先行するパターンもあり、ベル麻痺との初期鑑別が難しいのが要注意ポイントです。
- 頻度:末梢性麻痺の 7〜13%/高齢者・免疫低下者に多い
- 診断補助:耳介・外耳道・軟口蓋の視診
- 標準治療:アシクロビル/バラシクロビル+プレドニゾロン
- 連携:聴力低下・前庭症状があれば耳鼻咽喉科紹介
受診から診断までの流れ問診・診察から MRI・血液検査まで
問診と神経学的診察で「中枢性/末梢性」を素早く振り分け、必要時に院内 MRI で脳の病気を除外します。末梢性であれば発症 3 日以内のステロイド開始を目標に、ハント症候群が疑われれば抗ウイルス薬を併用します。
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問診
以下の項目をうかがいます:
- 発症のしかた(突然 / ゆっくり)
- 随伴症状(耳のうしろの痛み・水疱・難聴・めまい・味覚の異常・音が響く・手足の麻痺・呂律不良)
- 既往歴(糖尿病・妊娠・帯状疱疹の既往・耳の手術歴・外傷)
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神経学的診察院内で実施
額のしわ寄せ・閉眼・口の動き・味覚・聴覚を中心に、手足の運動/感覚/腱反射を確認します。
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耳鼻科的診察
耳介・外耳道と軟口蓋の視診(水疱・発赤)を行い、ハント症候群かどうかを確認します。
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画像検査必要時 当日
院内 MRIで脳の異常がないか即時評価します。脳卒中疑いは最優先で撮影します。
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重症度評価と治療開始同日〜3日以内
柳原 40 点法で重症度を判定し、ステロイド投与量を調整します。ハント症候群の疑いでは抗ウイルス薬を併用します。
重症度別の治療方針柳原 40 点法の点数別に「どう治すか」を一目で
日本でメインに使われる柳原法(40 点満点)10を、患者・ご家族向けに「点数 ⇒ 治療の組み立て」で並べました。点数が低いほど麻痺が重く、ステロイドの量と入院・専門連携の必要性が高まります。
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40〜38 点
軽症
経過観察+必要時に少量ステロイド
外来での経過観察が中心です。生活指導(眼の保護・休養)を行い、必要に応じて少量のステロイドを短期間のみ使用します。ハント症候群の疑いがあれば抗ウイルス薬を追加します。
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36〜26 点
中等症
ステロイド単剤+抗ウイルス薬を考慮
治療は中等量のステロイドから始めて漸減します。ベル麻痺はステロイド単剤で、ハント症候群の疑い・耳介後部痛・味覚異常があれば抗ウイルス薬を併用します。
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24〜14 点
重症
ステロイド大量療法+抗ウイルス薬併用
治療は標準量のステロイドを 5 日間投与し、その後 5 日かけて漸減します。抗ウイルス薬を併用すると回復が良くなることが期待されます。糖尿病・潰瘍・感染症がある方は入院も考慮します。
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12〜0 点
完全麻痺
大量ステロイド + 早期手術検討 + 他施設連携
治療は大量のステロイドを 10 日かけて漸減します。原則入院で行います。回復が乏しい例では、発症 2 か月以内に顔面神経減荷術の適応を専門施設で検討します。後遺症対策のリハ計画も早期から並行して立てます。
治療の組み立てステロイド・抗ウイルス薬・眼の保護・リハ
治療はステロイド(神経の腫脹を抑える)と抗ウイルス薬(ウイルスを抑える、ハント症候群では必須)の 2 軸です。発症 3 日以内の開始が望ましく、遅くとも7 日以内に始めます。眼の保護も同時に開始します。
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ステロイド療法
神経の腫脹を抑える
ベル麻痺・ハント症候群とも第一選択245。発症 3 日以内に始めて、重症度に応じて量を増減します。
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重症度(柳原法の点数)や年齢・体格・併存症(糖尿病・胃潰瘍・感染症など)に合わせて、量を細かく個別化します1。
- 軽症〜中等症:少量を短期間(5〜7 日程度)
- 重症:高用量を約 10 日かけて漸減(必要時は入院)
- 糖尿病・胃潰瘍・感染症の併存があれば胃薬・血糖管理を同時並行
抗ウイルス薬
ウイルスの再活性化を抑える
ハント症候群では必須併用。ベル麻痺でも重症例では追加する選択肢です。
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原因となるウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)を抑える薬です78。ベル麻痺でも重症例ではステロイドへ追加することで回復が良くなる報告があります34。新しい薬のアメナメビルは 1 日 1 回の内服でよく、腎機能による調整も不要なため、高齢者や服薬負担が大きい方の選択肢になります。
- ベル麻痺:抗ウイルス薬を 5〜7 日 併用
- ハント症候群:抗ウイルス薬を 7 日 必須併用
- 神経の回復を助けるメチコバラミン(ビタミン B12)も併用
眼の保護
兎眼から角膜を守る
閉眼できないと角膜潰瘍のリスク。日中・夜間ごとに保護方法を分けます。
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閉眼不能(兎眼)が続くと角膜潰瘍・視力障害のリスクが高まります。回復までの数週間〜数か月は意識的な眼の保護が必要で、痛み・充血・視力低下があれば眼科へ即連携します。
- 人工涙液の頻回点眼
- 夜間眼帯/保護用テープ・ガーゼ
- 角膜障害が出てきたら眼科へ即連携
リハビリ・後遺症対応
病的共同運動を予防する
急性期は強い顔面マッサージを避け、回復期は鏡を使った微細な動作で再学習します。
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急性期の過度な顔面マッサージや強制的な閉眼運動によって、病的共同運動(口を動かすと目が閉じる等)を悪化させる可能性があります。
- ミラーバイオフィードバック療法(鏡を見ながら微細な動作)
- 慢性期の拘縮・共同運動にはボツリヌス治療
- 長引く顔面非対称は形成外科・リハ科と連携
鑑別すべきその他の原因腫瘍・外傷・自己免疫・全身疾患
ベル麻痺・ハント症候群以外で末梢性顔面神経麻痺をきたす疾患群です。進行が緩徐・両側性・再発性のときは積極的に鑑別を行い、見逃すと進行する病気を拾い上げます。
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ギラン・バレー症候群
救急
両側性顔面麻痺+四肢脱力
両側性の顔面麻痺に手足の力が抜ける症状が伴うとき、両側顔面麻痺+四肢脱力は救急。呼吸筋麻痺の危険があり、疑った時点で即入院です。
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「数週前にお腹をこわした/風邪をひいた後で、両側の顔面麻痺+手足の力が抜ける」が見逃さないコツ。呼吸不全のリスクで救急対応を要します。
- 診断補助:髄液蛋白細胞解離・神経伝導検査・抗ガングリオシド抗体
- 急性期治療:免疫グロブリン点滴または血漿交換(発症 2 週以内)
- 連携:高次救急施設へ即搬送・神経内科入院
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サルコイドーシス
両側性顔面麻痺+多臓器症状
他臓器の症状を伴うとき、両側麻痺+多臓器症状からサルコイドーシス(複数の臓器に炎症が起きる原因不明の病気)を疑います。
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「両側または反復する顔面麻痺」「耳下腺の腫れ・ぶどう膜炎・発熱」など他臓器の症状を伴うとき、サルコイドーシスを想起します。
- 初期スクリーニング:胸部 X 線・CT・血液検査
- 呼吸器内科・眼科との連携
腫瘍性
緩徐進行・腫瘤触知
急性発症のベル麻痺と違い、数週〜数か月の緩徐進行は腫瘍性を疑い、MRIと耳鼻科・脳外科連携が鍵です。
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「週〜月単位で進む顔面非対称」「耳下腺の腫瘤に気づく」「進行性の難聴・耳閉感を併発」が手がかり。3 か月以上改善しない/一度回復後に再増悪する症例も腫瘍性を疑い直すサインです。
- 主要原因:耳下腺腫瘍・顔面神経鞘腫・聴神経腫瘍・頭蓋底腫瘍
- 連携:耳鼻咽喉科・脳神経外科を早期コンサルト
ライム病
マダニ刺咬後の顔面麻痺
特徴的な前駆症状から疑います。マダニ刺咬歴・遊走性紅斑の後の顔面麻痺。両側性もあり、抗体検査で確認します。
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「数週〜数か月前にマダニに刺された」「赤いリング状に広がる遊走性紅斑が出た」「林業・登山・キャンプの機会があった」と顔面麻痺が組み合わさるとき、神経ライム病を想起します。
- 診断補助:血清抗体・髄液検査
- 標準治療:ドキシサイクリン経口またはセフトリアキソン点滴 14〜28 日
- 連携:感染症内科・小児科(小児例)と協働
多発性硬化症(脳幹病変)
再発・他脳神経症状を伴う
脳幹病変でも末梢性パターンを呈することがあり、再発・他脳神経症状があれば疑います。
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「以前にも視力低下や手足のしびれを繰り返した」「顔面麻痺と一緒に複視・呂律困難など他の脳神経症状がある」が手がかり。再発・両側性のときは MRI での評価が必要です。
- 頭部 MRI で多発白質病変を確認
- 診断補助:髄液オリゴクローナルバンド
- 連携:脳神経内科で疾患修飾薬の導入を検討
メルカーソン・ローゼンタール症候群
再発性
再発する顔面麻痺+口唇腫脹
繰り返す顔面麻痺と唇の腫れで疑います。再発性麻痺+口唇腫脹が手がかり。若年〜中年に多く、口唇生検で確認します。
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「顔面麻痺を何度も繰り返している」「口唇の腫れがある」「舌の表面にしわが寄る皺襞舌」のいずれかが組み合わさるとき疑います。三徴がすべて揃う完全型は少なく、顔面麻痺+口唇腫脹のみの不完全型が大半です。
- 確定診断:口唇生検で非乾酪性肉芽腫を確認
- 除外鑑別:サルコイドーシス・クローン病・血管性浮腫
- 治療:再発時にステロイド全身投与+誘因(歯科金属・食物等)回避指導
危険なサインすぐに受診を
以下にあてはまるときは早めに受診(場合により救急要請を)
- 額のしわ寄せができる+口角下垂のみ → 中枢性顔面麻痺(脳卒中/FAST該当)を疑い救急
- 顔面麻痺+手足の麻痺・呂律不良・意識障害・激しい頭痛(脳卒中の併発)
- 両側の顔面神経麻痺 → ギラン・バレー症候群/サルコイドーシス/ライム病(呼吸モニタが必要なことも)
- 顔面麻痺+難聴・回転性めまい・耳介水疱 → ラムゼイ・ハント症候群(早期治療必須)
- 緩徐に進行する顔面非対称・腫瘤触知 → 腫瘍性病変(耳下腺腫瘍・聴神経腫瘍など)
- 再発性の顔面神経麻痺 → メルカーソン・ローゼンタール症候群/サルコイドーシス/腫瘍性
あなたの顔面神経麻痺の緊急度をご確認ください
緊急
すぐに119番
- 額のしわ寄せができる+口角下垂(中枢性疑い)
- 顔面麻痺+手足の麻痺・呂律不良・意識障害
- 両側の急性顔面神経麻痺+呼吸が苦しい
119に電話する
注意
数日以内に受診
- 突然の片側顔面麻痺(ベル麻痺・ハント症候群 疑い)
- 耳の水疱・難聴・めまいを伴う(ハント症候群)
- 発症 3 日以内のステロイド開始が予後を左右
0942-42-1155 に電話
相談
予約して受診
- 緩徐進行する顔面非対称(腫瘍性鑑別)
- 回復後の病的共同運動・拘縮の相談
- 再発性顔面麻痺の精査
WEB予約・アクセス
よくある質問
顔がゆがんで動かなくなりました。脳卒中ですか?
最初のポイントは額のしわ寄せができるかです。
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① まず鏡の前で額のしわ寄せを試す
眉を上げて額にしわが寄るかを確認します。左右差の有無で末梢性か中枢性かを大まかに振り分けられる、最も簡単で信頼性の高いベッドサイド所見です。
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② 額もしわ寄せできず口角だけ下がる → 末梢性を想定
額が動かず同側の口角も下がる場合は、ベル麻痺やラムゼイ・ハント症候群などの末梢性顔面神経麻痺が疑われます。当日〜翌日中の受診とステロイド開始が予後を左右します。
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③ 額は動くのに口角だけ下がる/手足麻痺・呂律不良 → 救急
額のしわ寄せが保たれていれば中枢性(脳卒中)を強く疑います。FAST(顔・腕・言葉)が 1 つでも当てはまれば 119 番が安全な選択です。
ベル麻痺だと言われました。自然に治りますか?
無治療でも約 70〜85% は完全回復します。3 日以内のステロイド開始でさらに回復率が上がります。
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最優先① 70〜85%は自然回復が期待できる
ベル麻痺の予後は比較的良好で、不完全麻痺ほど回復率が高くなります。「治る病気」と理解した上で、回復率をさらに上げるための治療判断に進むのが安心につながります。
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② 発症 3 日以内のステロイドでさらに改善
日本・米国のガイドラインのいずれも、ステロイド全身投与を「強く推奨」としています145。発症から早いほど効果が大きく、当院では受診当日に開始することが多いです。
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③ 15〜30%に後遺症が残る可能性
完全麻痺・高齢・糖尿病合併などはリスク因子で、病的共同運動や顔面拘縮が残ることがあります。早期治療と長期フォローで負担を最小化します。
耳の中に水ぶくれができて、顔がゆがみました。
ラムゼイ・ハント症候群の可能性が高いです。(帯状疱疹性顔面神経麻痺)
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① ハント症候群はベル麻痺より予後不良
耳介・外耳道の水疱を伴う帯状疱疹性麻痺で、難聴・めまい・耳痛を合併することがあります。完全回復率はベル麻痺より低く、早期診断と早期治療開始が決定的です。
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② ステロイド+抗ウイルス薬の早期併用が必須
抗ウイルス薬とステロイドの全身投与を組み合わせて、発症 72 時間以内 に開始するのが標準。回復率を高めるエビデンスがあります。
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③ 耳鼻咽喉科と連携して聴覚・平衡機能を評価
第Ⅷ脳神経症状(難聴・耳鳴・回転性めまい)の有無で重症度が変わります。当院で麻痺を治療しつつ、聴力検査や前庭機能評価は耳鼻咽喉科と協働して進めます。
顔面神経麻痺は何科を受診すればよいですか?
脳神経外科・脳神経内科・耳鼻咽喉科のいずれでも対応可能です。
- 当院では院内 MRI で脳卒中を除外したうえでステロイド治療を開始
- 難聴・めまい併発時は耳鼻咽喉科へ連携
半年経ってから、笑うと目が閉じるようになりました。
病的共同運動という後遺症です。顔面神経の再支配の過誤で起こります。
- 完全に元に戻すのは難しいが症状を軽減する治療はある
- ミラーバイオフィードバック療法・ボツリヌス治療
- 形成外科・リハ科と連携
両側の顔がゆがんで動かなくなりました。
両側性の急性顔面神経麻痺は稀です。重い全身疾患のサインのことがあります。
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① 両側同時の麻痺は重い全身疾患のサイン
片側のベル麻痺と異なり、両側の急性顔面神経麻痺は全身疾患の一症状として現れることが多く、放置できないアラートです。原因の鑑別が最優先になります。
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② ギラン・バレー症候群・サルコイドーシス・ライム病などを鑑別
代表的な原因はギラン・バレー症候群、神経サルコイドーシス、ライム病、HIV、髄膜炎など。胸部 X 線・血清 ACE・抗ガングリオシド抗体・髄液検査を組み合わせて原因を絞り込みます。
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③ 四肢脱力・呼吸苦があれば救急受診
手足の力が入らない・息苦しい・嚥下しにくいなどがあれば、ギラン・バレー症候群の進行で呼吸筋麻痺に至ることがあります。ためらわず救急車を呼んでください。