生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病など)その管理は、「脳を守る」ことにつながります
なぜ脳の専門クリニックが生活習慣病を診るのか生活習慣病は「血管の病気」であり、脳の病気の入り口です
高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病は、それ自体はほとんど痛みも症状もありません。けれども、長い時間をかけて血管を内側から傷めていくという共通点があります。
傷んで硬く狭くなった血管(動脈硬化)は、やがて脳の血管が詰まる・破れる(脳梗塞・脳出血)ことにつながります1。さらに近年は、中年期の生活習慣病が将来の認知症のリスクにも関わることがわかってきました2。
まず
生活習慣病
高血圧・脂質異常症・糖尿病・慢性腎臓病・睡眠時無呼吸・肥満など
→
すると
血管が傷む(動脈硬化)
血管が硬く・狭くなり、詰まりやすく・破れやすくなる
→
その先に
脳卒中・認知症など
脳梗塞・脳出血、将来の認知症のリスク上昇につながる
だからこそ、生活習慣病の管理は「数値を下げること」自体が目的ではなく、その先の脳や心臓を守るための取り組みです。当院では、MRI(MRA)や頸動脈エコーで血管の状態を、CTで脳そのものの状態を確かめながら、一人ひとりに合った管理をご提案します。
高血圧脳卒中と最も深く関わる生活習慣病
血圧が高い状態が続く病気です。自覚症状はほとんどありませんが、放っておくと脳・心臓・腎臓の血管に負担をかけ続けます。健診で指摘されても「症状がないから」と様子見にされやすい病気です。
脳卒中との関係
高血圧は脳出血の最大の原因であり、脳の細い血管が詰まる脳梗塞(特にラクナ梗塞)とも深く関わる、脳卒中の最も大きな危険因子です1。血圧は適切に下げるほど脳卒中が減り、上の血圧(収縮期)が10(たとえば140から130へ)下がるごとに、脳卒中は約25%少なくなると報告されています7。
認知症との関係
中年期の高血圧は、将来の認知症のリスク因子の一つでもあります2。高血圧は、治療によって認知機能の低下がおさえられることが示されている数少ない病気で89、地域ぐるみで血圧を下げた研究では認知症そのものが約15%少なくなりました10。
当院でできること
- 内服治療と定期的な採血で、血圧と全身の状態を管理します
- 必要に応じて頸動脈エコー・MRI・CTで血管や脳の状態を確認します
- 減塩・運動など、生活面のご相談も承ります
脂質異常症コレステロールが動脈硬化を静かに進めます
血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉)や中性脂肪が多すぎる、あるいはHDLコレステロール(善玉)が少ない状態です。こちらも自覚症状はほとんどなく、健診の採血ではじめて気づかれることが多い病気です。
脳卒中との関係
LDLコレステロールが高い状態が続くと血管の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進みます。首の頸動脈や脳の血管が狭くなると、血管の壁にたまった脂のかたまり(プラーク)が原因で起こるアテローム血栓性脳梗塞の背景になります1。
認知症との関係
中年期の高いLDLコレステロールは、2024年に認知症のリスク因子の一つに加えられました2。「コレステロールの薬を飲むと認知症になるのでは」と心配される方がいますが、その必要はありません。薬でLDLを下げても認知症は増えず、むしろ少ないという報告もあります14。
当院でできること
- 内服治療と定期的な採血で、コレステロール値を管理します
- 頸動脈エコーで首の血管の動脈硬化の程度を実際に確かめ、治療の必要性を一緒に判断します
- 食事・運動のご相談も承ります
糖尿病血管を傷め、脳梗塞のリスクを高めます
インスリンの働きが不足し、血液中の糖(血糖)が高い状態が続く病気です。高血糖が長く続くと、太い血管も細い血管もじわじわと傷んでいきます。
脳卒中との関係
糖尿病があると、脳梗塞(虚血性脳卒中)のリスクがおよそ2倍になると報告されています3。動脈硬化を進め、高血圧や脂質異常症と重なるとリスクはさらに高まります1。
認知症との関係
糖尿病は将来の認知症のリスク因子の一つでもあり2、とくにアルツハイマー病はおよそ1.5倍起こりやすくなると報告されています11。
当院でできること
- 内服治療と定期的な採血(血糖・HbA1c〔過去1〜2か月の血糖の平均をあらわす値〕)で血糖を管理します
- 脳卒中の予防という観点から、血圧・コレステロールもあわせて管理します
- 必要に応じてMRI・頸動脈エコーで血管の状態を確認します
慢性腎臓病(CKD)腎臓の血管の傷みは、脳の血管の傷みと表裏一体です
腎臓の働きが少しずつ低下したり、尿にタンパクが漏れ出したりする状態が続く病気です。高血圧・糖尿病が背景にあることが多く、健診の採血(腎機能)や尿検査で気づかれます。
脳卒中との関係
慢性腎臓病は脳卒中の独立した危険因子であり、腎機能の低下や尿タンパクの程度が進むほど脳卒中のリスクも高くなることが報告されています4。腎臓と脳は、どちらも細い血管が集まった臓器で、高血圧・糖尿病という共通の原因を通じて、腎臓の血管の傷みと脳の血管の傷みは深く関わり合っています4。
認知症との関係
近年は、慢性腎臓病が認知症とも関わることが注目されており、とくに尿タンパク(アルブミン尿)が出ている方では、認知機能の低下と関連することが報告されています13。
当院でできること
- 採血(腎機能)と尿検査で状態を評価し、背景にある高血圧・糖尿病を内服で管理します
- 透析が必要になるような段階では、腎臓を専門とする医療機関をご紹介します
- 脳卒中の予防という観点から、血圧・血糖の管理をていねいに続けます
睡眠時無呼吸症候群いびき・日中の眠気の裏に、脳卒中のリスクが隠れていることがあります
眠っている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする状態です。大きないびき、日中の強い眠気、起床時のすっきりしない感じなどがサインになります。ご本人は気づきにくく、ご家族に指摘されて分かることも少なくありません。
脳卒中との関係
睡眠時無呼吸は、ほかの危険因子とは独立した脳卒中・死亡のリスク因子であると報告されています5。夜間の低酸素や血圧変動が、血管に負担をかけると考えられています。
頭痛との関係
睡眠時無呼吸があると起床時の頭痛が起こることがあり、治療で改善することがあります6。
当院でできること
- いびき・日中の眠気と、頭痛や脳卒中リスクとの関連についてのご相談をお受けします
- くわしい検査が必要な場合は、対応できる医療機関をご案内します
肥満複数の生活習慣病が重なる「土台」になります
体に脂肪が過剰にたまった状態です。肥満そのものだけでなく、そこから高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸が生まれ、重なっていくことが問題になります。
脳卒中との関係
肥満は、これまでに挙げた高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸の共通の土台となり、これらを通じて脳卒中のリスクを押し上げます1。
認知症との関係
とくに中年期(40〜60歳代)の肥満は、将来の認知症のリスクをおよそ1.4倍に高めると報告されています12。いっぽうで、年齢を重ねてからでも、体重を適正に近づけることには、脳卒中をはじめ複数のリスクをまとめて下げる大切な意味があります。
当院でできること
- 体重管理のための生活の工夫(食事・運動)を一緒に考えます
- あわせて高血圧・脂質異常症・糖尿病などの併存する病気を内服と定期採血で治療します
- 無理なく続けられる方法をご提案します
こんな方はご相談ください脳を守る視点での管理をお手伝いします
ひとつでも当てはまる方は、一度ご相談ください
- 健診で血圧・コレステロール・血糖・腎機能を指摘されたが、そのままにしている
- ご家族に脳卒中や認知症の方がいて、自分のリスクが心配
- 以前は薬を飲んでいたが、自己判断で中断してしまっている
- 大きないびきや日中の強い眠気があり、起床時に頭痛が出やすい
- 生活習慣病を治療中で、脳の血管の状態が気になる
- 薬を飲み始めるべきか、生活改善で様子を見てよいか迷っている
生活習慣病は、早く気づいて管理を始めるほど、脳を守る効果が期待できます。まずは今の状態を一緒に確認しましょう。
よくある質問
健診で「要治療」と言われただけでも受診していいですか?
はい、症状がなくても受診してかまいません。むしろ症状が出る前が受診のタイミングです。
- 生活習慣病は、症状が出たときにはすでに血管が傷んでいることが少なくありません
- 健診の結果票をお持ちいただくと、そのまま相談がスムーズです
- すぐに薬を始めるとは限らず、まず状態を確認して方針を一緒に考えます
内科と何が違うのですか?
生活習慣病の治療そのものは一般内科と共通しますが、当院は「脳を守る」視点を軸にしています。
- 脳卒中や認知症のリスクという観点から、優先順位をつけて管理します
- 必要に応じてMRI・CT・頸動脈エコーで脳や血管の状態を直接確認できます
- 気になる神経の症状(頭痛・もの忘れ・しびれなど)もあわせて相談できます
いま別の内科にかかっていますが、受診できますか?
はい、かかりつけの先生と併行して、脳を守る視点での相談・検査だけを受けていただくこともできます。
- 紹介状がなくても受診できます(お持ちの場合はご持参ください)
- いま飲んでいるお薬がわかるよう、お薬手帳をお持ちください
- かかりつけを変えるかどうかは、ご相談のうえで、あなたに合った形を一緒に考えます
薬は一生飲み続けないといけませんか?
必ずしもそうとは限りません。状態や生活改善の効果を見ながら、その都度調整します。
- 生活改善で数値が安定すれば、減量や中止を検討できる場合もあります
- 一方で、リスクが高い方では続けることで脳卒中の予防につながります
- 大切なのは自己判断で中断しないこと。気になることは診察でご相談ください
タバコやお酒も脳卒中に関係がありますか?
はい、喫煙は脳卒中の主要な危険因子で、お酒も量が多いとリスクを高めます。
- タバコは血管を傷め、脳梗塞やくも膜下出血などのリスクを高めます。禁煙は最も効果の高い予防のひとつです1
- お酒は、適量を超えると血圧を上げ、脳卒中のリスクにつながります
- 生活習慣病の管理とあわせて、生活面(タバコ・お酒・運動)のご相談も承ります。くわしくは脳卒中のページもご覧ください
脳ドックとの使い分けはどうすればいいですか?
生活習慣病の「治療・管理」は保険診療の外来、脳の血管や状態の「チェック」は脳ドックが目安です。
- 健診で指摘された数値を治療・管理していきたい方は、通常の外来へ
- 症状はないけれど脳の血管の状態をまとめて調べたい方は、脳ドックもご検討ください
- どちらが向いているか迷う場合も、お気軽にご相談ください