こんな方に読んでいただきたい記事です
近年、認知症の一部は生活習慣や病気の管理で予防できる余地があることがわかってきました3。なかでもカギを握るのが血圧です。
2025年、世界的な医学誌『Nature Medicine』に、3万人以上を対象にした大規模な試験の結果が報告されました。血圧をしっかり下げた人たちは、そうでない人たちに比べて認知症の発症が約15%少なかったのです1。
この記事では、その研究が示したことと、私たちが今日からできることを、やさしく解説します。
中国の農村部で行われた大規模試験(CRHCP-3)の要点です1。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| どんな人? | 血圧が高めの40歳以上 33,995人 |
| 何をした? | 村ごとに2つのグループに分け、4年間追跡 しっかり下げた群通常のケア群 |
| 目標の血圧 | 上(収縮期)130・下(拡張期)80 mmHg未満 |
| 血圧の変化 (4年間) |
スタート時両群とも 上156・下88
しっかり下げた群上128・下73 まで低下
通常のケア群上148・下81 どまり
|
| 認知症の発症 | しっかり下げた群で少なかった(4年間で 5.4% → 4.6%、約15%減) |
| 安全性 | 重い副作用は増えず、むしろ少なかった |
高い血圧が長く続くと、脳の細い血管が少しずつ傷みます。すると、脳の血流が落ちたり、症状の出ない小さな脳梗塞や、脳の“配線”部分の傷み(白質の変化=神経の通り道が傷むこと)が積み重なったりして、認知機能の低下につながると考えられています13。血圧を適切に保つことは、こうした脳の血管のダメージを減らすことにつながります。
血圧と認知症の関係は以前から指摘されてきましたが、「血圧を下げれば認知症そのものが減る」とはっきり確かめるのは簡単ではありませんでした。米国のSPRINT-MIND試験は、その一歩手前の状態(MCI=認知症の前段階の軽い物忘れ)が減ることは示したものの、認知症そのものについては結論を出せていませんでした2。
今回のCRHCP-3試験は、認知症そのものの発症が減ることを大規模に示した画期的な研究です1。世界的にも、認知症の予防できる危険因子の一つに高血圧が挙げられており3、今回の結果はそれを実際の数字で裏づけました。
日本人にも当てはまる?
血管が傷むしくみは世界共通で、「血圧管理が脳を守る」方向性は日本でも参考になります。ただし舞台は中国の農村で事情が異なり、数字をそのまま当てはめるのは慎重に。
下げ方は人それぞれ
目標の血圧や薬は年齢・持病によって違います。自己判断で増減せず、主治医と相談して決めましょう。
この試験の対象は40歳以上の中高年で、幅広い年齢層で効果がみられました1。ただし高齢の方は下げすぎによるふらつきなどに注意が必要で、目標は個別に決めます。主治医にご相談ください。
この試験では上130・下80未満を目標にしました1。適切な目標は年齢や持病によって異なるため、日本では主治医が一人ひとりに合わせて判断します。
今回の試験では、しっかり下げたグループのほうが重い副作用はむしろ少ない結果でした1。気になる症状があるときは、自己判断で中断せず主治医に相談してください。
血圧の管理ともの忘れの相談は、実は深くつながっています。つつみ脳神経外科クリニックでは、以下をまとめて受けられます。
認知症を確実に防ぐことをお約束するものではありませんが、脳を守るための一歩として、気になる方はお気軽にご相談ください。まずは家庭で測った血圧の記録をお持ちいただくとスムーズです。
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