糖尿病(とうにょうびょう:diabetes mellitus/血糖・HbA1c)血糖を整えて、脳の健康を守りましょう
糖尿病とは「症状がない」うちに動脈硬化が進むのが最大の落とし穴
糖尿病は、血液中の血糖(ブドウ糖)が高い状態が続く病気です。大人の多くは2型糖尿病で、体質に生活習慣(食べ過ぎ・運動不足・肥満など)が重なって進みます。
診断は、健診でも測る血糖値とHbA1cが目安になります4。
| 検査項目 |
この値だと「糖尿病型」 |
| 空腹時の血糖値 |
126mg/dL 以上 |
| 随時血糖(食事と関係なく測った値) |
200mg/dL 以上 |
ブドウ糖負荷試験 2時間値(甘い液を飲んで2時間後) |
200mg/dL 以上 |
| HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー) |
6.5% 以上 |
自覚症状の乏しさ「症状がない=軽い」ではありません
糖尿病は、はじめのうちはほとんど自覚症状がないのが特徴です。気づきにくいため、多くの方は健診の採血ではじめて指摘されます。
こんな方は、一度きちんと血糖・HbA1cを確かめてみてください
- 健診で血糖やHbA1cが高めと言われたが、そのままにしている
- のどの渇き・尿の回数の増加・体重の減少が気になる
- ご家族に糖尿病の方がいる、または肥満・運動不足の習慣がある
- すでに高血圧・脂質異常症があると言われている
ひとつでも当てはまる方は、一度の採血で今の血糖・HbA1cを確かめておくことをおすすめします。当院でも糖尿病の相談・検査ができます。
放置するとどうなるか脳梗塞、そして認知症・全身の血管へ
糖尿病で知っておきたいのは、症状がないまま高い血糖が血管を傷め、動脈硬化が進むことです。とくに脳の血管への影響は大きく、糖尿病は脳梗塞の重要な危険因子ですが、血糖を整え、血圧やコレステロールもあわせて管理することが、そのリスクを下げることにつながります。
脳梗塞との関係
糖尿病があると、脳梗塞(脳の血管が詰まるタイプの脳卒中)が約 2 倍起こりやすくなります2。頸動脈(首の太い血管)や脳の血管の動脈硬化が進み、血管が狭くなったり詰まったりしやすくなります。高血圧・脂質異常症が重なると、リスクはさらに高まります1。血糖の管理と動脈硬化の抑制が、脳を守ることにつながります。
認知症との関係
糖尿病のある方では、将来の認知症が約 1.7 倍多いことが報告されています3。血糖の管理、生活習慣の見直しは将来の脳を守ることにつながります。
脳との関わりをもっと詳しく知りたい方は、生活習慣病と脳のページや、脳梗塞・脳卒中のページもあわせてご覧ください。
血糖の管理目標「合併症を防ぐ」ための目安と、一人ひとりに合わせた調整
糖尿病の管理でめやすになるのがHbA1cです。多くの方では、合併症(目・腎臓・神経など)を防ぐためにHbA1c 7.0%未満が一つの目安になります4。ただし大切なのは、「低ければ低いほどよい」わけではないということです。とくにご高齢の方では、下げすぎ(低血糖)がかえって害になることがあり、目標は一人ひとり調整します。
| 何を目指すか |
HbA1cの目標 |
| 血糖を正常に近づけたいとき(若く、合併症のない方など) |
6.0%未満 |
| 合併症を防ぐための目安(多くの方はここ) |
7.0%未満 |
| 安全を優先するとき(治療を強めるのがむずかしい方) |
8.0%未満 |
「合併症を防ぐ」HbA1c 7.0%未満は、血糖値でいうと空腹時130・食後2時間180 mg/dL 未満がおおよその目安です。どれを目標にするかはご自分では判断せず、年齢・治療の内容・低血糖の起こりやすさなどから、担当医が一人ひとりに合わせて決めます4。
ご高齢の方の目標
ご高齢の方は、下げすぎ(低血糖)によるふらつき・転倒を避けることも大切です。下の表のように、低血糖を起こしやすいお薬を使っているか(行)とふだんの生活の様子(列)に合わせて目標を決め、「下限」で下げすぎを防ぎます5。数字は診察で医師が決めるので、ここで自己判断する必要はありません。
- 低血糖を起こしやすいお薬=インスリン注射・SU薬・グリニドなど
- カテゴリーⅠ=認知機能・日常生活の動作がしっかり保たれている
- カテゴリーⅡ=軽い認知の低下、または複雑な生活動作に手助けが要る
- カテゴリーⅢ=中等度以上の認知症、身のまわりの介助が要る、または持病が多い
| 低血糖を起こしやすいお薬 |
カテゴリーⅠ |
カテゴリーⅡ |
カテゴリーⅢ |
| 使っていない |
7.0%未満 |
7.0%未満 |
8.0%未満 |
| 使っている |
7.5%未満 (下限6.5) 65〜74歳 8.0%未満 (下限7.0) 75歳以上 |
8.0%未満 (下限7.0) |
8.5%未満 (下限7.5) |
日本糖尿病学会・日本老年医学会による「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を、患者さん向けにやさしく言い換えたものです5。
治療(生活改善とお薬)まず生活の見直し、必要に応じてお薬を組み合わせます
糖尿病の治療は、食事・運動などの生活習慣の見直しが土台です。その上で、生活改善だけでは血糖が十分に下がらない場合に、血糖を下げるお薬を組み合わせます。脳を守るうえでは、血圧やコレステロールもあわせて整えることも大切です4。
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① いちばんの土台
食べ方を見直す
食べる量とバランスの見直しが、血糖管理の土台です。
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極端な制限より、続けられる工夫が大切です。食べ方を少し変えるだけでも、食後の血糖の上がり方はゆるやかになります4。完璧を目指さず、できることから一つずつで十分です。
- 食べ過ぎを避け、腹八分目を意識する
- 野菜・海藻・きのこを先に、よく噛んで
- 甘い飲み物・間食・夜食は控えめに
② 体を動かす
運動・減量
体を動かすことと少しの減量が、血糖を下げます。
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ウォーキングなどの有酸素運動は、血糖を下げ、インスリンの効きをよくします4。少しの減量でも数値は動きます。持病のある方は、始める前に運動の内容をご相談ください。
- 少し息がはずむ運動を週に合計150分ほど(1回20〜30分×週3回〜)
- できれば軽い筋トレも週2〜3回
- 少しの減量でも血糖やHbA1cは動きます
③ 必要なとき
血糖を下げるお薬
生活改善だけで血糖が下がらないときは、お薬を組み合わせます。
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お薬は今の状態(血糖・持病・体重・心臓や腎臓の状態)に合わせて選び、採血で効果と安全を確かめながら調整します4。生活改善で血糖が安定すれば減らせる方もいます。低血糖や、発熱・下痢で食事がとれない日(シックデイ)には注意が必要です。
- 飲み薬から注射までいろいろな種類
- 効果と安全は定期的な採血で確認
- 自己判断で中断せず、体調不良は早めに相談
④ 脳を守るために
血圧・コレステロールも整える/禁煙
血糖だけでなく、血圧・コレステロール・禁煙も脳を守るカギです。
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糖尿病は、高血圧・脂質異常症と重なると脳梗塞のリスクがさらに高まります1。血糖と同じくらい、これらをあわせて整えることが脳と血管を守ります。
- 血圧・コレステロールも一緒に確認
- 禁煙のご相談もできます
- 当院でまとめて管理できます
当院でできること内服・定期採血・血管と脳の確認・生活のご相談
当院は地域のかかりつけとして、血糖の管理から、脳を守る予防までを一緒に続けていきます。脳神経を専門とするクリニックとして、動脈硬化や脳が実際にどうなっているかもあわせて確認できます。
-
内服治療と定期的な採血
飲み薬による血糖の管理と、採血で血糖・HbA1cや体の状態(肝臓・腎臓など)を定期的に確認します。合併症の芽を早めに見つけることも大切にしています。
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動脈硬化・脳の状態を確認
頸動脈エコーでは、首の血管の壁の厚みやプラーク(血管の内側にできるコブ)を見て、動脈硬化の進み具合を目で見て確かめられます。MRI・CTで脳の状態もあわせて確認できます。
-
生活面のご相談
食事の工夫、運動、減量など、続けられる工夫を生活に合わせて一緒に考えます。高血圧・コレステロールもまとめて管理できます。
-
専門的な管理が必要なときのご紹介
インスリンによるこまやかな治療や、より専門的な管理が必要な場合には、糖尿病を専門とする医療機関と連携し、適切なところをご案内します。
よくある質問
症状がないのに、治療は必要ですか?
A. 必要なことが多いです。糖尿病は自覚症状がないまま動脈硬化を進め、気づかないうちに脳梗塞などにつながることがあります。
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① 症状がなくても血管は傷んでいます
高い血糖は、症状がないまま全身の血管を傷め、動脈硬化を進めます4。
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② まず生活改善から始めます
すぐにお薬とは限りません。まず食事・運動の見直しから始め、血糖の状態に応じて、必要なときにお薬を加えます4。
HbA1cは、低ければ低いほどよいのですか?
A. いいえ。下げすぎ(低血糖)はかえって害になることがあり、目標は一人ひとり違います。
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① 下げすぎ(低血糖)に注意
とくにご高齢の方やお薬を使っている方では、下げすぎるとふらつき・転倒などにつながることがあります。だから「低いほどよい」ではありません。
-
② あなたに合った目標を決めます
多くの方は合併症予防の目安がHbA1c 7.0%未満ですが、年齢・治療・体の状態によって目標も下限も変わります。診察で一緒に決めましょう4。
血糖を下げるお薬は、一度始めたら一生やめられないのですか?
A. 生活改善で血糖が安定し、減らせる方もいます。ただし自己判断の中断は危険です。
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① 減らせる方もいます
食事・運動・減量などで血糖が十分に安定すれば、お薬を減らせる方もいます。まずは一緒に生活を整えていきましょう。
-
② 自己判断の中断は危険です
勝手にやめると血糖が急に高くなることがあります。担当医と一緒に、血糖やHbA1cを見ながら調整しましょう。
「インスリンになる」と言われるのが怖いのですが。
A. 多くの方は飲み薬で管理できます。インスリンが必要になっても、それは体を守るための前向きな選択です。
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① まずは飲み薬で管理する方が多いです
2型糖尿病では、食事・運動と飲み薬で管理できる方が多くいます。当院でも内服と定期的な採血で管理していきます。
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② 必要なときは専門機関と連携します
インスリンによるこまやかな治療や専門的な管理が必要な場合は、糖尿病を専門とする医療機関と連携してご案内します。怖がらず、まずはご相談ください。
糖尿病だと、脳卒中や認知症になりやすいのですか?
A. リスクは高くなりますが、管理によってリスクを下げていくことにつながります。必要以上に不安になることはありません。
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① リスクは上がります
糖尿病があると脳梗塞が約 2 倍起こりやすく2、将来の認知症も約 1.7 倍多いと報告されています3。
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② 管理でリスクは下げられます
血糖に加え、血圧・コレステロールも整え、禁煙することで、脳を守ることにつながります。当院はこれらをまとめて管理できます。
甘いものを食べてきたのが原因ですか?
A. 生活習慣だけが原因ではありません。ご自分を責めず、これからの管理に目を向けましょう。
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① 体質も大きく関わります
2型糖尿病は、生まれ持った体質に、食事・運動・体重などが重なって起こります。甘いものだけが原因ではありません。
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② 大切なのはこれからです
過去を悔やむより、今の血糖を知り、できることから整えていくことが将来の脳と体を守ります。一緒に始めましょう。
ごはんや果物、お酒はやめないといけませんか?
A. 完全にやめる必要はありません。大切なのは「量」と「食べ方」の工夫です。
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① ごはん・果物は「量」を意識
主食(ごはん・パン・めん)は抜くのではなく量を適度に。果物も体によい一方で糖分を含むため、食べ過ぎない程度に楽しみましょう。
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② お酒は控えめに
お酒は少量なら楽しめる方もいますが、飲み過ぎは血糖や中性脂肪に影響します。ご自分に合った量は診察でご相談ください。
太っていなくても糖尿病になりますか?
A. なります。日本人はやせ型でも糖尿病になりやすい体質の方が少なくありません。
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① 体質が大きく関わります
日本人はもともとインスリンを出す力が弱めの方が多く、太っていなくても血糖が上がることがあります。「やせているから大丈夫」とは限りません。
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② だから健診の数値が大切
見た目では分からないため、健診の血糖・HbA1cで確かめることが大切です。高めと言われたら一度ご相談ください。
健診で血糖・HbA1cが高めと言われました。どのくらいで受診すればよいですか?
A. 早めに一度、受診しておくと安心です。今の血糖に加えて、動脈硬化や脳の状態も確かめられます。
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① まずは一度、相談を
糖尿病は急いで治療、というより長く付き合う病気です。早めに一度受診し、今の状態と方針を確認しておくと安心です。健診の結果票をお持ちいただくとスムーズです。
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② 血管・脳の状態も確かめられます
当院では頸動脈エコーで動脈硬化の程度を、MRI・CTで脳の状態も確認できます。迷うときは当院(0942-42-1155)にご相談ください。