脂質異常症(ししついじょうしょう:dyslipidemia/コレステロール・中性脂肪)コレステロールを整えて、脳の健康を守りましょう

脂質異常症のページ冒頭イラスト。「コレステロールを整えて、脳を守る」の見出しと、医師が患者に血液検査の結果を見せて相談する様子。食事・運動・相談という管理のポイントと、脳・心臓・血管の健康を表す。

脂質異常症とは「症状がない」うちに動脈硬化が進むのが最大の落とし穴

脂質異常症は、血液中のあぶら(脂質)のバランスがくずれた状態です。健診の採血でよく測る4つの数値が目安になります4

検査項目 この値だと脂質異常症 よび方
LDLコレステロール(悪玉) 140mg/dL 以上 高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール(善玉) 40mg/dL 未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド(中性脂肪) 150mg/dL 以上
(空腹時の採血)
高トリグリセライド血症
Non-HDL
コレステロール
170mg/dL 以上 高non-HDLコレステロール血症

自覚症状の乏しさ「症状がない=軽い」ではありません

脂質異常症は、ほとんど自覚症状がないのが特徴です。痛みも不調も出ないため、多くの方は健診の採血ではじめて指摘されます。だからこそ「症状がないから大丈夫」と放置されやすいのですが、症状がない間にも動脈硬化は静かに進んでいます。「症状がない=軽い」ではありません。

こんな方は、一度きちんとコレステロールを確かめてみてください

ひとつでも当てはまる方は、一度の採血で今の数値を確かめておくことをおすすめします。当院でもコレステロールの相談・検査ができます。

放置するとどうなるか脳梗塞、そして認知症・心臓へ

脂質異常症で知っておきたいのは、症状がないまま血管の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進むことです。血管の内側にできたプラーク(コレステロールのこぶ)は脳梗塞や心筋梗塞の引き金になりますが、早めに気づいて数値を整えれば、そのリスクは下げていけます

脳梗塞との関係

LDLコレステロール(悪玉)が高い状態が続くと、頸動脈(首の太い血管)や脳の血管が少しずつ狭くなり、そこにできたプラークが原因で起こる脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)の背景になります1。コレステロールを適切に管理し、動脈硬化の進みをおさえることが、脳を守ることにつながります。

認知症との関係

中年期の高いLDLコレステロールは、2024年に将来の認知症のリスク因子の一つとして新たに挙げられました2。中年期からの生活習慣の見直しは、将来の脳の健康にもつながります。

脳との関わりをもっと詳しく知りたい方は、生活習慣病と脳のページや、脳梗塞脳卒中のページもあわせてご覧ください。

管理の目標値同じ数値でも、目標は一人ひとり違います

脂質異常症でとくに大切なのがLDLコレステロール(悪玉)です。ここで知っておきたいのは、「めざすLDLの値は、みんな同じではない」ということです。糖尿病や過去の脳梗塞・心筋梗塞など、動脈硬化を進めやすい要因が多い方ほど、目標はより低く設定されます4

どんな方か LDLの目標
危険因子が少ない方(低リスク) 160mg/dL 未満
危険因子がいくつかある方(中リスク) 140mg/dL 未満
糖尿病・慢性腎臓病
などがある方(高リスク)
120mg/dL 未満
すでに脳梗塞・心筋梗塞
などがある方(再発予防/二次予防)
100mg/dL 未満
(さらに高リスクは 70 未満)

色は、リスクが高い行ほど濃くなり、めざすLDLもより低くなります。リスクの区分は、年齢・血圧・血糖・喫煙などから総合的に判断します。

あなたはどのくらい注意が必要?
下の質問にチェックすると、注意度の目安が表示されます(正確な目標値は診察で医師が決めます)。

次のいずれかに当てはまりますか?

次のうち、当てはまるものは?

まずは今の数値を知ることから

健診の結果を持って、一度ご相談ください。今の値と生活から、あなたに合った目標を一緒に決めます。

※このチェックは日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」の考え方をもとにした簡易的な目安で、診断ではありません。正確なリスク評価と目標値は診察で確認します4

治療(生活改善とお薬)まず生活の見直し、必要に応じてお薬を組み合わせます

脂質異常症の治療は、食事・運動などの生活習慣の見直しが土台です。その上で、生活改善だけでは十分に下がらない場合や、動脈硬化を進めやすい要因(過去の脳梗塞・心筋梗塞や糖尿病など)がある場合に、コレステロールを下げるお薬を組み合わせます4

気になるカードをタップすると詳しい説明が開きます

① いちばんの土台

あぶらの「質」を見直す

コレステロールを上げやすい動物性の脂(肉の脂身・バター・生クリーム)や揚げ物・洋菓子を控えめにします。

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とる脂の「量」だけでなく「質」が大切です。肉の脂身・バター・生クリーム・洋菓子・揚げ物などに多い脂は、LDLコレステロール(悪玉)を上げやすいことが分かっています4。完璧を目指さず、できることから一つずつで十分です。

  • 肉は脂身の少ない部位を選ぶ
  • 揚げ物・洋菓子は回数を減らす
  • 調理は「揚げる」より「蒸す・焼く」
② 食事のもう一工夫

青魚・食物繊維・大豆を増やす

青魚のあぶら、野菜・海藻・きのこの食物繊維、大豆製品は、コレステロールや中性脂肪の管理を助けます。

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控えるだけでなく、積極的にとりたい食品もあります。青魚(いわし・さば・あじ)、野菜・海藻・きのこの食物繊維、大豆製品などがすすめられています4。中性脂肪が高い方は、甘いもの・お酒・糖質のとりすぎを見直すと下がりやすくなります。

  • 青魚を週に何回か取り入れる
  • 野菜・海藻・きのこ・大豆製品を毎日
  • 中性脂肪が高い方は甘いもの・お酒を控えめに
③ 体と生活を整える

運動・減量・禁煙・節酒

適度な運動と適正体重、禁煙、お酒を控えめに。中性脂肪を下げ、善玉(HDL)を増やし、血管を守ります。

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ウォーキングなどの有酸素運動は、中性脂肪を下げ、善玉(HDL)コレステロールを増やすのに役立ちます。適正体重に近づけること、禁煙、飲酒を控えめにすることも、あわせて血管を守ります4

  • ウォーキングなど、無理のない範囲で毎日
  • 禁煙・お酒は控えめに
  • 少しの減量でも数値は動きます
④ 必要なとき

コレステロールを下げるお薬

生活改善で十分下がらないとき、動脈硬化を進めやすい要因がある方には、お薬を組み合わせます。

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コレステロールを下げるお薬にはいくつかの種類があり、今の数値・持病・めざす目標に合わせて選びます。飲み始めたら、定期的な採血で効果と体の状態(肝臓・筋肉など)を確かめながら調整します4。生活改善で数値が安定すれば減らせる方もいます。

  • 種類は一人ひとりに合わせて選ぶ
  • 定期的な採血で効果と安全を確認
  • 調子がよくても自己判断で中断しない

当院でできること内服・定期採血・血管と脳の確認・生活のご相談

当院は地域のかかりつけとして、コレステロールの管理から、脳を守る予防までを一緒に続けていきます。脳神経を専門とするクリニックとして、動脈硬化が実際にどこまで進んでいるかもあわせて確認できます。

  1. 内服治療と定期的な採血 お薬によるコレステロール・中性脂肪の管理と、採血で効果や体の状態(肝臓・血糖・腎臓など)を定期的に確認します。
  2. 動脈硬化・脳の状態を確認 頸動脈エコーでは、首の血管の壁の厚みやプラークを見て、動脈硬化の進み具合を目で見て確かめられます。MRI・CTで脳の状態もあわせて確認できます。
  3. 生活面のご相談 食事のあぶらの選び方、運動、減量など、続けられる工夫を生活に合わせて一緒に考えます。
  4. 専門的な対応が必要なときのご紹介 ご家族に若くして心筋梗塞などがある「体質的にコレステロールが高い方」など、専門的な検査・治療が必要なときは適切な医療機関をご案内します。

よくある質問

症状がないのに、治療は必要ですか?
A. 必要なことが多いです。脂質異常症は自覚症状がないまま動脈硬化を進め、気づかないうちに脳梗塞や心筋梗塞につながることがあります。
  1. ① 症状がなくても血管は傷んでいます 高いLDLコレステロールは、症状がないまま血管の壁にたまり、動脈硬化を進めます1
  2. ② まず生活改善から始めます すぐにお薬とは限りません。リスクの低い方は、まず食事・運動の見直しから。数値やリスクに応じて、必要なときにお薬を加えます4
コレステロールのお薬は、一度飲んだら一生やめられないのですか?
A. 生活改善で数値が安定し、減らせる方もいます。ただし自己判断の中断は危険です。
  1. ① やめられる方もいます 食事・運動・減量などで数値が十分に安定すれば、お薬を減らせる方もいます。まずは一緒に生活を整えていきましょう。
  2. ② 自己判断の中断は危険です とくに過去に脳梗塞・心筋梗塞のある方が勝手にやめると、再発の危険が高まります。担当医と一緒に、数値を見ながら調整しましょう。
コレステロールを下げるお薬に、副作用はありませんか?
A. 多くの方は問題なく続けられますが、まれに筋肉や肝臓に影響が出ることがあります。だからこそ定期的な採血で確認しながら進めます。
  1. ① だから定期的に採血します まれに筋肉のだるさ・痛み肝臓の数値の変化が出ることがあるため、飲み始めたあとも採血で体の状態を確認しながら調整します。
  2. ② 気になる症状は早めに相談を 手足の筋肉のだるさや痛みなど、気になる症状があるときは我慢せずご相談ください。お薬の種類や量の調整で対応できることがほとんどです。
卵など、コレステロールの多い食品は食べてはいけませんか?
A. 特定の食品を極端に禁止するより、あぶらの「質」と食事全体のバランスのほうが大切です。
  1. ① 一つの食品を禁止にしなくてよい 卵を一切食べない、といった極端な制限は必要ないことが多いです。大切なのは食事全体のバランスです。
  2. ② あぶらの「質」を意識する 肉の脂身・バター・揚げ物・洋菓子を控えめにし、青魚・野菜・大豆を増やすほうが効果的です4。心配な食品は診察でご相談ください。
中性脂肪(トリグリセライド)が高いと言われました。
A. 中性脂肪は、食べ過ぎ・お酒・糖質のとりすぎ・運動不足で上がりやすく、生活の見直しで下がりやすい数値です。
  1. ① 上がりやすい原因 食べ過ぎ、お酒・甘いもの・糖質のとりすぎ、運動不足で上がりやすくなります。
  2. ② 生活の見直しで下がりやすい お酒と甘いものを控え、体を動かすと比較的すぐに下がることが多い数値です。極端に高い場合はすい臓にも負担がかかるため、受診してご相談ください。
コレステロールを下げると、認知症が心配なのですが。
A. お薬でLDLコレステロールを下げても、認知症が増える心配はありません。むしろ少ないという報告もあります。
  1. ① 増やす心配はありません LDLコレステロールを下げる治療で認知症が増えるという心配はなく、むしろ少ないという報告もあります3。安心して治療に取り組んでいただけます。
  2. ② 「予防できる」とまでは言えない段階です ただしこれは「関連」を見た研究で、「下げれば認知症を予防できる」と言い切れる段階ではありません。過度な期待も心配も不要、というのが今の受け止め方です。
健診でひっかかりましたが、どのくらいで受診すればよいですか?
A. 早めに一度、受診しておくと安心です。今の動脈硬化の程度を、頸動脈エコーなどで確かめられます。
  1. ① まずは一度、相談を 脂質異常症は急いで治療、というより長く付き合う病気です。早めに一度受診し、今のリスクと方針を確認しておくと安心です。
  2. ② 動脈硬化を「見て」確かめられます 当院では頸動脈エコーで、血管の壁の厚みやプラークを実際に見て確認できます。迷うときは当院(0942-42-1155)にご相談ください。

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つつみ脳神経外科クリニック
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