てんかん
けいれんだけではない、大人・高齢の方にも起こる発作の病気
⚠ 発作が5分以上続くときは、ためらわず119番です(対応手順はこちら)
ABOUTてんかんとはけいれんだけではありません
てんかんは、脳の神経細胞(ニューロン)が一時的に過剰に興奮することで発作が起き、それをくり返す病気です。生まれつきの病気とは限らず、脳卒中のあとなど、大人になってから発症することも多くあります。
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100人に1人
てんかんのある方の割合(有病率)4
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100万人
全国のてんかんのある方(推計)4
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7割
適切な薬物治療で発作の抑制が期待できる割合1
「てんかん」と「けいれん」は同じ意味ではありません。けいれんとは、自分の意思と関係なく筋肉が急に縮んで、手足がガクガクする・体がつっぱることです。これはてんかん発作のあらわれ方の1つにすぎず、けいれんしない発作(ぼーっと一点を見つめる・動作が止まる など)もたくさんあります。
医学的には、24時間以上あけて2回以上、はっきりしたきっかけ(高熱・低血糖など)なしに発作が起きたとき、てんかんと診断されます。1回の発作でも、脳の傷や脳波の異常などから再発の可能性が高いと判断される場合には、診断されることがあります2。
TYPES発作のタイプ「脳のどこから始まるか」で分けます
発作は「脳のどこから始まるか」で分類されます3。ここでは代表的な2つのタイプをご紹介します。タイプによって適したお薬が変わるため、発作の様子を正確に伝えていただくことがとても重要です。
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焦点起始発作
大人に多い
脳の一部分から始まる発作
脳の一部の過剰な興奮から始まるタイプ。けいれんのない発作も多く、周囲から「発作」と気づかれにくいのが特徴です。
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大人・高齢の方のてんかんでは、このタイプが中心になります。
- ぼーっと一点を見つめて、呼びかけに反応がない
- 口をモゴモゴ・手をもぞもぞと動かす(無意識の動き)
- 一瞬言葉が出ない・会話が急に止まる
- 片方の手足だけがピクピクする など
全般起始発作
意識を失うことが多い
はじめから脳全体に広がる発作
発作のはじめから脳全体が興奮するタイプ。意識を失って全身がけいれんする発作などが含まれます。
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いわゆる「てんかん発作」としてイメージされることが多いタイプです。多くの場合、発作中のことをご本人は覚えていません。
- 意識を失い、全身を硬くつっぱったあとガクガクとけいれんする
- 数秒〜十数秒、ぼーっとして意識が途切れる(欠神発作)
- 手足が一瞬ピクッと跳ねる(ミオクロニー発作) など
ELDERLY高齢者のてんかんもの忘れの症状に見えることがあります
てんかんは、実は高齢の方に多い病気です。高齢で初めて発症する場合は、脳卒中のあとの変化など「脳の傷」が原因で発症することが多くなります6。
高齢の方のてんかんはけいれんしないことが多いのが特徴です6。「ぼんやりして反応がない」「急に会話が止まる」だけのことが多く、周囲が発作と気づきにくいうえ、発作のあとのもうろうとした状態が長引くこともあります。
| 気になる場面 |
てんかんを疑うポイント |
| ぼんやりして反応がない |
突然始まり、数分でいつも通りに戻る。同じようなエピソードを何度もくり返す |
| 記憶が抜け落ちる |
「その時間帯だけ」すっぽり抜ける。ふだんの記憶力や生活の様子は保たれている |
| 会話が急に止まる |
口をモゴモゴ・手をもぞもぞ動かすなど、小さな動きを伴うことがある |
もの忘れの症状に見えて、実は治療で改善が期待できるてんかんだった、ということがあります。治せるもの忘れのページもあわせてご覧ください。
FIRST AID目の前で発作が起きたらあわてず安全確保と横向き。多くは数分でおさまります
ご家族や周囲の方が発作を目の当たりにすると、とても驚かれると思います。しかし、多くの発作は数分以内に自然におさまります5。次の手順を思い出してください。
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あわてず、周囲の安全を確保する
ストーブ・ガラス・角のある家具など危険な物を遠ざけ、可能なら頭の下にやわらかい物(タオル・上着など)を敷きます。
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顔を横向きに → おさまったら体を横向きに
けいれんの最中は無理に動かさず、可能な範囲で顔を横向きにします(吐いたものがのどに詰まらないように)。けいれんがおさまったら、体全体を横向き(回復体位)にします。メガネを外し、首まわりの衣服をゆるめると安全です。
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口に物を入れない・押さえつけない
「舌を噛まないように」と口にタオルや指を入れるのは、窒息やけがのもとでかえって危険です。体を強く押さえつけるのも避けます。また、意識が完全に戻るまで、水・薬・食べ物を口に入れないでください(のどに詰まる危険があります)。
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時間を測る
発作が始まった時刻を確認します。多くの発作は数分以内に自然におさまります。あわてて移動させる必要はありません。
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可能なら、発作の様子を動画で撮影する
安全確保を最優先にしたうえで、余裕があればスマートフォンで動画を撮ってください。発作の様子の動画は診断にとても役立ちます。
次の場合は、ためらわず119番(救急車)を5
- 初めての発作のとき(てんかんと分かっていない方の発作)——原因を調べる必要があります
- 発作が5分以上続いている
- 短い間隔で発作をくり返す
- 意識が戻らないまま、次の発作が起きる
- 発作のあと、呼吸や顔色がおかしいまま戻らない・大きなけがをした
- 水の中・高い場所など、危険な状況で発作が起きた
OUR CLINIC当院でできること問診と検査で「原因」と「再発リスク」を確かめます
てんかんの診断で最も重要なのは、発作のときの様子です。ご本人は発作中のことを覚えていないことが多いため、発作を見たご家族の同伴での受診や、発作の動画が大きな助けになります。
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問診(発作の様子の聞き取り)
発作の前後の様子・きっかけ・続いた時間・これまでの病気(脳卒中・頭のけが など)を伺います。ご家族からの聞き取りがとても重要です。動画をお持ちの方は、ぜひお見せください。
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脳波検査(脳の電気活動を調べる)
脳の電気活動の乱れ(てんかんに特徴的な波)がないかを調べます。痛みはなく、頭に電極を付けるだけの検査です。
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MRI・CT(脳の原因を探す)
脳卒中の痕・脳腫瘍など、発作の原因になる脳の変化がないかを確認します。当院ではMRI・CTを院内に備えています。
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血液検査・心電図(発作に似た他の原因を見分ける)
低血糖や電解質異常(ナトリウムなどミネラルバランスの乱れ)、失神(一時的に意識を失う状態)など、発作に似た他の原因がないかを見分けます。
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診断・治療方針の説明、専門機関との連携
結果をご説明し、治療方針を一緒に決めます。診断が難しい場合や、お薬で発作が抑えられない場合は、てんかん専門の医療機関へ紹介・連携します。
「初めての発作」でも、受診をおすすめします。初回の発作のあとの再発は最初の2年間で最も高く、約20〜45%と報告されています7。とくに脳の傷や脳波の異常がある方では再発の可能性が高くなるため、「1回だけだったから」と様子を見ずに、原因検索と再発リスクの評価を受けておくことをおすすめします。
TREATMENT治療について抗てんかん薬による治療が基本です
治療の中心は抗てんかん薬(発作を起こりにくくする飲み薬)です。適切な薬物治療により、約7割の方は発作の抑制が期待できるとされています1。
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治療の基本
抗てんかん薬(発作を起こりにくくする薬)
発作のタイプに合わせてお薬を選び、毎日規則的に飲み続けることが治療の土台です。
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抗てんかん薬は、脳の過剰な興奮を抑えて発作を予防するお薬です。飲み忘れや自己判断での中断は発作の再発につながるため、続けやすい飲み方も含めてご相談ください。
- 発作のタイプに合わせて薬剤を選択(少量から始めて、様子を見ながら調整)
- 自己判断で中断しない(急にやめると発作が起きやすくなります)
- 眠気・ふらつきなどの副作用や、他のお薬との飲み合わせも定期受診で確認
あわせて行う
原因への対処と生活リズムの調整
脳卒中のあとのてんかんでは脳卒中の再発予防も並行して行います。発作の誘因(発作を起こしやすくするきっかけ)を減らす生活調整も、治療の大切な一部です。
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お薬だけに頼らず、発作が起きやすい状況を減らしていくことで、コントロールがより安定します。
- 原因となる病気(脳卒中・その他)の治療と、血圧などの管理
- 睡眠不足・飲酒・飲み忘れなど、発作の誘因を減らす
- 発作の日時・様子の記録(発作日誌)で、治療の効果を確かめながら調整
発作が抑えられないとき
てんかん専門機関との連携
複数のお薬でも発作が続く場合は、外科治療などの選択肢を検討できる専門機関へご紹介します。
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2種類以上のお薬を適切に使っても発作が続く「難治てんかん」では、より詳しい評価と治療の選択肢があります1。
- 長時間ビデオ脳波検査などによる、発作タイプの再評価
- 外科治療・そのほかの治療の適応の検討
- ご紹介後も、ふだんの体調管理・お薬の継続は当院で並行してサポート
LIFE生活上の注意と運転免許発作の誘因を知り、安全と両立させる
睡眠不足・飲酒・お薬の飲み忘れは、発作の代表的な誘因です。誘因を避ける工夫と、万一発作が起きても大事に至らないための安全への配慮を、生活の場面ごとに整理しました。
| 場面 |
おすすめの工夫 |
| 睡眠 |
睡眠不足は発作の誘因の代表です。就寝・起床のリズムをなるべく一定に |
| 飲酒 |
深酒は発作を誘発しやすくします。量と頻度は主治医と相談を |
| 服薬 |
飲み忘れは再発の大きな原因。服薬カレンダーやスマートフォンのアラームを活用 |
| 入浴 |
発作が安定するまでは湯船よりシャワーがおすすめ。入浴の際はご家族に一声かけて |
| 高所・水泳など |
発作が起きたときに大きなけがや溺水につながる活動は、発作の状況に応じて主治医と相談 |
FAQよくある質問診察でよくいただく質問をまとめました
Q. てんかんは子どもの病気ではないのですか?
いいえ。高齢になって初めて発症する方が増えています。
- てんかんの発症には、子どもと高齢者という2つのピークがあります
- 高齢の方では、脳卒中のあとの変化など「脳の傷」が原因のことが多くなります6
- 大人になってから初めて発作が出た場合は、原因を調べることがとくに大切です
Q. 一度発作を起こしたら、必ずてんかんですか?
いいえ。1回の発作=てんかん、ではありません。
- 高熱・低血糖・お酒のやめ始めなど、はっきりした誘因があって起こる発作(急性症候性発作)は、てんかんとは区別されます
- てんかんは「誘因なく発作をくり返す(または再発の可能性が高い)」状態を指します2
- ただし、初回の発作のあとの再発は最初の2年間で最も高く、約20〜45%と報告されており7、一度は原因検索と再発リスクの評価をおすすめします
Q. 脳波が正常でも、てんかんのことはありますか?
あります。発作のない時間帯の脳波では、異常が出ないことも珍しくありません。
- てんかんの脳波異常は、発作と発作の間の検査では検出されないことがあります
- 発作の直後は異常が見つかりやすいため、受診・検査のタイミングも参考になります
- 診断は脳波だけで決めるのではなく、発作の様子(問診・動画)・MRIなどを組み合わせて総合的に行います
Q. 薬はずっと飲み続けるのですか?
原因や発作のタイプによって異なります。まずは発作をゼロに近づけることが目標です。
- 数年間発作がない場合、減量・中止を検討できることもあります(原因やタイプによります)
- 自己判断での中断は発作の再発につながるため、必ず主治医と相談してください
- 高齢の方のてんかんは、少量のお薬で発作が落ち着きやすいとされています6
Q. 家族の発作をスマートフォンで撮影してもいいですか?
はい。発作の動画は診断にとても役立ちます。
- まず安全確保(横向きにする・危険物を遠ざける)を最優先にして、余裕があれば撮影を
- 全身だけでなく、顔・目の向き・手足の動きが映っていると参考になります
- 発作が始まった時刻と、続いた時間のメモもあわせてお持ちください
Q. てんかんは遺伝しますか?
多くの場合、心配しすぎる必要はありません。
- 大人になってから、脳卒中のあとなど「脳の傷」が原因で発症するてんかんは、遺伝の心配は基本的に少ないとされています
- 遺伝が関わるタイプは一部です
- ご家族やお子さんへの影響が心配な場合は、診察でご相談ください
Q. 妊娠を考えています。お薬はやめるべきですか?
自己判断で中止しないでください。発作の再発は、お母さんと赤ちゃんの双方にとって危険です。
- 妊娠を考えた段階で、事前に主治医へご相談ください
- 事前にご相談いただければ、お薬の調整や葉酸などの準備ができます
- 必要に応じて、てんかん専門の医療機関とも連携して進めます