脳梗塞や一過性脳虚血発作(いわゆる“前ぶれ発作”)の後は、再発を防ぐことがとても大切です。
今の再発予防の土台は、血を固まりにくくする「抗血小板薬」。ただ、効果を強めようとするほど出血(脳や胃腸などからの出血)も増えやすくなる、という悩ましいジレンマがありました。
この壁に挑んだのが、世界的な医学誌『New England Journal of Medicine』に載った大規模研究です1。血を固める仕組みの一部だけをおさえる開発中の飲み薬(アサンデキサン)を、これまでの抗血小板薬に“上乗せ”する、という考え方を検証しました。
脳梗塞の多くは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血管をふさぐことで起こります。だから再発予防では、血小板の働きをおさえる抗血小板薬が中心になります。
ただ、血を固まりにくくする薬には共通して「出血が増える」というリスクがつきものです。再発は減らしたい、でも出血は避けたい——この綱引きが、これまでの予防の難しさでした。
血を固める仕組みには、たくさんの“部品”(凝固因子)が関わっています。そのなかで第XI因子(だい11いんし)は、少し変わった性質を持っています1。
つまり「ケガをふさぐ働きはほぼ残したまま、血管を詰まらせる血栓だけをねらえるかもしれない」——これが、この薬が期待される理由です。
今回の研究(OCEANIC-STROKE)まず、どんな研究だったかです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 動脈硬化が関係するタイプの脳梗塞、または再発リスクの高い前ぶれ発作(TIA)の患者 12,327人(心臓が原因の脳梗塞は対象外) |
| 開始時期 | 発症から72時間以内 |
| 比べたもの | 抗血小板薬 +「開発中の薬」 vs 抗血小板薬 +「偽薬」(見た目が同じダミー) |
| 追跡期間 | 中央値(真ん中の値)でおよそ19か月 |
次に、結果です。
| 見ている項目 | 抗血小板薬 +偽薬 | 抗血小板薬 +開発中の薬 |
|---|---|---|
| 脳梗塞の再発少ないほど良い | 8.4% | 6.2%少し減少 |
| 重大な出血増えないほど良い | 1.7% | 1.9%増えなかった |
数字は、その後に脳梗塞の再発や重大な出血が起きた人の割合です。再発は少ないほど、出血は増えないほど良い結果です。再発は100人あたりでみると、およそ8人から6人へ(2人ほど)減った計算です。
相対的にはおよそ4分の1(約26%)少ない結果でした1。劇的ではありませんが、意味のある差です。
そして、多くの方がいちばん心配される「薬のせいで出血が増えること」は、この薬を足しても増えませんでした(頭蓋内出血や出血性脳卒中も同じ程度)1。
心血管が原因の死亡・心筋梗塞・脳卒中をまとめた指標でも、上乗せした群のほうが少なくなっていました。
期待できる結果ですが、大切な注意点があります1。
一方で、期待できる意味もあります。今回の結果は、出血を増やさずに再発を減らせる可能性を示した点に新しさがあります1。
もし今後承認されれば、抗血小板薬をしっかり続けていても再発してしまう方にとって、次の一手となることが期待されます。ただし、実際に使えるようになるか、どんな人に向くのかは、これからの検証と承認の判断を待つ必要があります。
新しい薬を待たなくても、再発予防の“土台”はご自身でも整えられます。ここが再発リスクを下げるいちばん確実な近道です。
2026年時点では研究段階で、日本では使えません。実際に使えるようになるかは、今後の承認の判断を待つことになります。
いいえ。自己判断で変えないでください。今の抗血小板薬は再発予防の土台です。
向き・不向きは医師が判断します。まずは今の予防(お薬と生活習慣)を続けることが大切です。
つつみ脳神経外科クリニックでは、脳梗塞の再発予防について以下の対応を行っています。
| 曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 9:00 – 12:30 | 休診 | |||||
| 午後 | 14:00 – 18:00 | 14:00 – 17:00 | 14:00 – 18:00 | 14:00 – 17:00 | |||
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