パーキンソン病はiPS細胞で治せるようになる?ヒトでの臨床試験でわかったこと

コラム

iPS細胞からつくった神経細胞をパーキンソン病の脳に移植する臨床試験(第I/II相)の結果を解説するコラムのイメージイラスト

この記事の結論

まだ治せる段階ではありません。安全に行えることが確認され、これから効果を詳しく調べていく段階です。一般の診療では受けられず、保険の対象でもありません。

この治療を待つあいだも、やることは変わりません。いまのお薬を自己判断で変えないこと、動きにくさをそのままにしないことです。

こんな方に読んでいただきたい記事です

  • ご自身やご家族がパーキンソン病で、新しい治療の話が気になっている
  • iPS細胞を使った治療が、いつ受けられるようになるのかを知りたい
  • いまの治療を続けてよいのか、迷いがある

パーキンソン病は、脳の奥の「黒質(こくしつ)」でつくられるドパミンという信号物質が、少しずつ減っていく病気です。

ドパミンが不足すると、動きが遅くなる・手がふるえる・体がこわばる、といった症状が出ます。お薬(L-ドパなど)で症状はやわらげられますが、減った神経細胞そのものを元に戻すことはできません。

そこで近年研究が進んでいるのが、iPS細胞からつくった神経細胞を脳に移植して、足りない細胞を補うという新しい考え方です。2025年、京都大学のグループが、この臨床試験の結果を超一流科学誌『Nature』に発表しました1

まだ研究段階の取り組みですが、「失われた細胞を補う」治療がここまで来た、という大切な一歩です。本記事では、その内容を紹介します。

パーキンソン病の症状・診断・治療については、パーキンソン病のページもあわせてどうぞ。

BACKGROUNDなぜ「細胞を移植する」のか

お薬は、外からドパミンを補う方法です。ただ、病気が進むと「効く時間が短くなる」「体が勝手に動いてしまう」といった、調整の難しさが出てきます。

そこで生まれたのが、減った神経細胞そのものを補うという発想です。体の細胞からつくれるiPS細胞を使えば、移植に必要な神経細胞を準備できます。

STUDYこの臨床試験で行われたこと

項目内容
実施京都大学病院(医師主導・1施設)
対象パーキンソン病の患者7人(50〜69歳)
方法iPS細胞からつくった神経細胞を、脳の「被殻(ひかく)」に移植
移植量少なめ3人・多め4人
追跡期間移植後24か月(2年)

RESULTS試験でわかったこと

この試験でいちばんの目的だったのは、安全性の確認です。

命にかかわるような重い副作用はなく、確認された体の変化(計73件)も、ほとんどが軽いものでした。

次に、運動症状の変化を、効果を詳しく調べた6人で評価しました(比較のための対照グループはありません)。症状の重さを、国際的なものさし(MDS-UPDRS)で測ると——

評価の場面改善した人数平均の改善
お薬が切れているとき6人中4人2割ほど(20.4%)
お薬が効いているとき6人中5人3割ほど(35.7%)

重症度の段階(Hoehn-Yahr)も4人で改善し、お薬が効いているとき・切れているときの、どちらでも改善がみられました。

さらに、移植した細胞が実際に働いているかも調べました。

脳の働きを画像で見る検査(PET)では、移植した被殻でドパミンの取り込みが平均44.7%増えていました。移植した細胞が、脳の中でドパミンをつくり始めたことを示唆する結果です1

もう少し詳しく知りたい方へ(読み飛ばして構いません)
  • 効果を比べる対照グループがない試験のため、改善のどこまでが移植によるものかは、追加の研究で確かめる必要があります。
  • 7人という少人数で、1つの施設での結果です。
  • どんな方に最も向くか、長期の安全性などは、これからの研究で明らかになっていきます。

今回の成果は、安全に行えることが確認され、有効性の検討へ進む段階に来た、という位置づけです。

すぐに標準治療になるものではありませんが、将来に向けた重要な前進といえます。

TODAYでは、いま何をすればよいかこの治療を待つあいだも、やることは変わりません

この治療はまだ研究段階で、一般の診療では受けられず、保険の対象でもありません。それでも、いまできることははっきりしています。

新しい治療の話は希望になりますが、いま受けている治療の価値が下がったわけではありません

FAQよくある質問

Q. この治療はもう受けられますか?

いいえ。まだ研究段階の治療で、一般の診療では受けられません。

Q. 保険はききますか?

承認された治療ではないため、保険診療の対象ではありません。

Q. つつみ脳神経外科クリニックで受けられますか?

当院ではこの移植治療は行っていません。ただし、すでに通院中の方も含めて、パーキンソン病の診断・お薬の調整・進行への不安・生活の工夫についてご相談いただけます。

Q. 家族がパーキンソン病かもしれません。どうすればよいですか?

動作の遅さ・手のふるえ・歩きにくさなどが気になるときは、早めに脳神経の専門医にご相談ください。

OUR CLINIC当院でできること

つつみ脳神経外科クリニックでは、パーキンソン病について以下の対応を行っています。

お電話でのご予約0942-42-1155 WEB予約はこちらEPARK(24時間受付)

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