パーキンソン病は、脳の奥の「黒質(こくしつ)」でつくられるドパミンという信号物質が、少しずつ減っていく病気です。
ドパミンが、運動の調整役である「被殻(ひかく)」に届かなくなることで、動きが遅くなる・手がふるえる・体がこわばる、といった症状が出ます。お薬(L-ドパなど)で症状はやわらげられますが、減った神経細胞そのものを元に戻すことはできません。
そこで近年研究が進んでいるのが、iPS細胞からつくった神経細胞を脳に移植して、足りない細胞を補うという新しい考え方です。2025年、京都大学のグループが、この臨床試験の結果を科学誌『Nature』に発表しました1。
まだ研究段階の取り組みですが、「失われた細胞を補う」治療がここまで来た、という大切な一歩です。本記事では、その内容を紹介します。
パーキンソン病の症状・診断・治療については、パーキンソン病のページもあわせてどうぞ。
お薬は、外からドパミンを補う方法です。ただ、病気が進むと「効く時間が短くなる」「体が勝手に動いてしまう」といった、調整の難しさが出てきます。
そこで生まれたのが、減った神経細胞そのものを補うという発想です。体の細胞からつくれるiPS細胞を使えば、移植に必要な神経細胞を準備できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施 | 京都大学病院(医師主導・1施設) |
| 対象 | パーキンソン病の患者7人(50〜69歳) |
| 方法 | iPS細胞からつくった神経細胞を、運動に関わる「被殻(ひかく)」に左右両方とも移植 |
| 移植量 | 少なめ3人・多め4人 |
| 追跡期間 | 移植後24か月(2年) |
この試験でいちばんの目的だったのは、安全性の確認です。
命にかかわるような重い副作用はなく、確認された体の変化(計73件)も、ほとんどが軽いものでした。MRI検査でも、移植した細胞が増えすぎたり、腫瘍をつくったりすることはありませんでした。
次に、運動症状の変化を、効果を詳しく調べた6人で評価しました(比較のための対照グループはありません)。症状の重さを、国際的なものさし(MDS-UPDRS)で測ると——
| 評価の場面 | 改善した人数 | 平均の改善 |
|---|---|---|
| お薬が切れているとき | 6人中4人 | 2割ほど(20.4%) |
| お薬が効いているとき | 6人中5人 | 3割ほど(35.7%) |
重症度の段階(Hoehn-Yahr)も4人で改善し、お薬が効いているとき・切れているときの、どちらでも改善がみられました。
さらに、移植した細胞が実際に働いているかも調べました。
脳の働きを画像で見る検査(PET)では、移植した被殻でドパミンの取り込みが平均44.7%増えていました(細胞を多く移植したグループほど、大きい変化です)。移植した細胞が、脳の中でドパミンをつくり始めたことを示唆する結果です1。
今回の成果は、安全に行えることが確認され、有効性の検討へ進む段階に来た、という位置づけです。
すぐに標準治療になるものではありませんが、将来に向けた重要な前進といえます。
※この移植はまだ研究段階で、現時点では一般の診療で受けられる治療ではありません。当院(つつみ脳神経外科クリニック)でも行っていません。ただし、パーキンソン病の診断やお薬・生活の調整は当院でご相談いただけます。
いいえ。まだ研究段階の治療で、一般の診療では受けられません。
承認された治療ではないため、保険診療の対象ではありません。
当院ではこの移植治療は行っていません。ただし、すでに通院中の方も含めて、パーキンソン病の診断・お薬の調整・進行への不安・生活の工夫についてご相談いただけます。
動作の遅さ・手のふるえ・歩きにくさなどが気になるときは、早めに脳神経の専門医にご相談ください。
つつみ脳神経外科クリニックでは、パーキンソン病について以下の対応を行っています。
| 曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 | 9:00 – 12:30 | 休診 | |||||
| 午後 | 14:00 – 18:00 | 14:00 – 17:00 | 14:00 – 18:00 | 14:00 – 17:00 | |||
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