脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤/のうどうみゃくりゅう)破裂する前に見つけて、経過観察か治療かを冷静に考える
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未破裂脳動脈瘤とは脳の血管にできた「こぶ」で、まだ破れていないもの
脳の動脈の壁の一部が、こぶ(瘤=りゅう)のようにふくらんだ状態を脳動脈瘤といいます。「未破裂」とは、その瘤がまだ破れていない状態のことです。
未破裂脳動脈瘤の基本
- 成人のおよそ 3%(30〜40 人に 1 人程度。研究により 1.9〜5.2% と幅があります)に見つかるとされます3
- ふだんは無症状で、脳の検査の「ついで」に偶然見つかることが多いです
- もし破裂すると、くも膜下出血という重い脳卒中になります(→ くも膜下出血のページ)
なお、日本人だから特別に多いとは言えませんが、日本人は破裂率がやや高めとする報告もあります5。
見つかるきっかけ と 破裂前のサイン多くは偶然の発見。まれに、瘤が神経を押して目のサインが出ることも(圧迫症状)
未破裂脳動脈瘤はふだん無症状のため、偶然見つかることがほとんどです。ただし、瘤が大きくなると、破裂する前に近くの神経を圧迫してサイン(圧迫症状)が出ることがあります。
見つかる主なきっかけ
- 脳の検査(脳ドックや、頭痛・めまいなどで撮った頭部 MRI)のついでに偶然
- 血のつながった家族歴が心配で検査して
- ごくまれに、下記の「圧迫症状」がきっかけで
破裂する前に「目のサイン」が出ることがあります
瘤が大きくなって近くの神経、とくに目を動かす神経(動眼神経)を圧迫すると、破裂する前でも片方のまぶたが下がる(眼瞼下垂〔がんけんかすい〕)・物が二重に見える(複視)・片方の瞳が大きくなる(散瞳〔さんどう〕)といったサインが出ることがあります4。
- とくに「急に」これらの目の症状が現れたときは、破裂が迫っているサイン(切迫破裂)のこともあります4
- 様子を見ずにすぐ受診を。強い頭痛を伴うときは、ためらわず 119 を
破裂しやすさ(傾向)全体では1年に約1%弱。小さな瘤は低めです
未破裂脳動脈瘤が見つかっても、多くはすぐに破裂するわけではありません。日本人を対象とした研究(UCAS Japan)では、破裂する割合は全体で 1 年あたり約 1%弱でした。とくに小さな瘤(3〜4mm)は 1 年あたり約 0.3〜0.5%=低めです26。
下の表は「どんな瘤が破れやすい傾向か」の方向性を示すものです(細かい数字の基準ではありません)
| 要素 |
破裂しやすい傾向 |
| 大きさ |
大きいほど高い(7〜9mm は小さい瘤の約 3 倍、10mm 以上はさらに高い傾向) |
| 場所 |
前交通動脈・後交通動脈などにできた瘤は高めの傾向(約 2 倍) |
| 形 |
表面がいびつ・小さな出っぱり(ブレブ、Bleb)があると高めの傾向(約 1.6 倍) |
部位・大きさ別の「1年あたりの破裂率」をくわしく見る(UCAS Japan)
| 瘤の場所\大きさ |
3〜4mm |
5〜6mm |
7〜9mm |
10〜24mm |
| 中大脳動脈 | 0.23% | 0.31% | 1.56% | 4.11% |
| 前交通動脈高め | 0.90% | 0.75% | 1.97% | 5.24% |
| 内頸-後交通動脈高め | 0.41% | 1.00% | 3.19% | 6.12% |
| 脳底動脈先端 | 0.23% | 0.46% | 0.97% | 6.94% |
| 全体の平均 | 0.36% | 0.50% | 1.69% | 4.37% |
数字は瘤 1 個あたり「1 年に破裂する割合(%)」です。高め=同じ大きさでも破れやすい傾向の部位。25mm 以上の大きな瘤は、どの場所でも急に高くなります(全体で 1 年あたり約 33%)2。
見つかったらどうする経過観察か治療か — 利益とリスクを天秤にかけて、冷静に決めます
未破裂脳動脈瘤が見つかったときの選択肢は、大きく 2 つです。A. 定期的に画像で見守る(経過観察)か、B. 破裂を防ぐ治療か。どちらが向くかは、いくつもの要素を総合して判断します。
A. 経過観察
見守る
定期的な画像で見守る
破裂のリスクが低い瘤では、定期的な MRI・MRAで大きさや形の変化を見守ります。立派な標準的選択のひとつです。
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瘤の大きさ・形に変化がないかを、決まった間隔で確認します。変化があれば、その時点で治療を再検討します。リスクの低い瘤に対しては、ガイドラインでも経過観察が妥当とされています14。
- 定期的な MRI・MRA で見守る
- リスクの低い瘤の標準的選択
- 変化があれば治療を再検討
B. 治療
破裂を防ぐ
破裂を防ぐ治療
破裂のリスクが相対的に高いと考えられる瘤では、破裂を防ぐ治療を検討します。治療法は次の章で中立に比較します。
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治療にもまれに合併症のリスクがあります。そのため「破裂を防ぐ利益」と「治療そのもののリスク」を天秤にかけて決めます。瘤の状態やご本人の状況によって、最適な選択は変わります14。
- 対象=破裂リスクが相対的に高い瘤
- 治療にもまれに合併症のリスク
- 利益とリスクを比べて判断
何で決まるの?
- 瘤の大きさ・場所・形
- 年齢・全身状態(持病)
- 家族歴やくも膜下出血の既往
- 高血圧・喫煙などの生活習慣
- ご本人の希望・納得
経過観察か治療かは、これらの要素を総合して主治医・専門医が判断します。「何mm以上なら治療」といった単純な基準で決まるものではありません。
治療の種類(中立の比較)大きく「開頭手術」と「血管内治療(カテーテル)」の2系統
治療法は大きく 2 つに分かれます。頭を開ける① 開頭手術(クリッピング)と、頭を開けない② 血管内治療(カテーテル治療)です。②の中には、コイル塞栓術・フローダイバーター・WEB などがあります。
気になるカードをタップすると詳しい説明が開きます
① 開頭手術
クリッピング
頭の骨を開けて、瘤の根元を金属クリップで挟む方法です。古くから行われ、確実性が高いとされます。
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頭の骨を開けて瘤に直接アプローチし、根元をクリップで挟みます。くも膜下出血の治療時に見つかった瘤や、脳の表面に近い瘤などで選ばれることがあります1。
- アプローチ=開頭手術
- 瘤の根元をクリップで挟む
- 脳の表面に近い瘤などで選ばれやすい
② 血管内治療
カテーテル治療
足のつけ根などの血管からカテーテル(細い管)を入れ、頭を開けずに治療します。体への負担が比較的少ない治療法です。
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血管の中から瘤を処置する方法です。代表的には 3 種類あり、どれが向くかは瘤の形・場所などで変わります。
- コイル塞栓術:瘤の中を、主にプラチナ(白金)でできた細い糸(コイル)で詰めて固める。最も広く行われています。
- フローダイバーター(FD):網目状の筒(ステント)を瘤の根元の血管に置いて、瘤を徐々に固める。大きい瘤・入口の広い瘤・コイルが難しい部位で選ばれます。
- WEB(ウェブ):瘤の中に網目状の小さな器具を留置して入口をふさぐ、比較的新しい方法です7。入口の広い分岐部の瘤などに向いています。
当院でできること院内の頭部MRI・MRAで「調べる→相談→必要なら橋渡し」
当院は院内に頭部 MRI・MRAがあり、未破裂の脳動脈瘤がないかを調べられます。気になる方・家族歴が心配な方はご相談ください。
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調べる — 院内の頭部 MRI・MRA
当院の頭部 MRI・MRAで、未破裂の脳動脈瘤がないかを調べられます。検査は体への負担が少なく、放射線も使いません。
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相談する — 経過観察か治療かを一緒に検討
見つかった場合は、瘤の大きさ・場所などから、経過観察か治療かを一緒に検討します。あわてて決める必要はありません。
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備える — 必要なら連携専門病院へ橋渡し
治療が必要と判断された場合は、設備の整った連携専門病院へおつなぎします。経過観察は当院で継続できます。
気になる方は、当院の頭部 MRI・MRA でご相談ください
緊急
急な目の症状・激痛
- 急にまぶたが下がる・物が二重に見える
- これまで経験のない突然の激しい頭痛
- 強い頭痛+嘔吐・意識がおかしい
すぐ119に電話
注意
経過観察を相談
- 見つかった瘤の経過観察を続けたい
- 経過観察か治療か、考え方を相談したい
- 定期的な MRI のフォローを受けたい
0942-42-1155 に電話
相談
調べたい・心配
- 家族歴があり、脳動脈瘤がないか調べたい
- 頭部 MRI・MRA で脳血管をチェックしたい
- 他院で未破裂の脳動脈瘤を指摘された
WEB予約・アクセス
よくある質問
動脈瘤が見つかりました。すぐ手術ですか?
A. いいえ。即手術ではなく、経過観察も標準的な選択です。大きさ・場所・形などから一緒に検討します。
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① 経過観察も標準的な選択
破裂のリスクが低い瘤では、定期的な MRI・MRAで見守る経過観察も標準的な選択です1。
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② 大きさ・場所・形などから判断
治療するかどうかは、瘤の大きさ・場所・形や、年齢・全身状態などを総合して主治医・専門医が判断します。
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③ あわてて決める必要はありません
治療にもまれに合併症のリスクがあります。利益とリスクを比べて、納得できるまでご相談ください。
破裂する確率はどれくらいですか?
A. 集団全体では1年に約1%弱、小さな瘤は低めです。ただし個人差があり、これは自己判断の基準ではありません。主治医とご相談ください。
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① 全体では1年に約1%弱
日本人の大規模研究(UCAS Japan)では、破裂する割合は全体で 1 年あたり約 1%弱でした。小さな瘤(3〜4mm)は約 0.3〜0.5%=低めです2。
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② これは「自己判断の基準」ではありません
これは集団全体の統計的な傾向で、一人ひとりの破裂を予測するものではありません。実際の判断は画像を見た主治医・専門医とご相談ください。
家族に脳動脈瘤やくも膜下出血の人がいます。検査した方がいい?
A. 第一度近親者(親・きょうだい・子)に2人以上、または多発のう胞腎(ADPKD)などで検査を考えます。心配なら頭部 MRI をご相談ください。
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① 「家族歴があれば全員」ではありません
第一度近親者(親・きょうだい・子)に 2 人以上いる場合などで、検査を考えます4。
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② 多発のう胞腎の方も対象に
多発のう胞腎(ADPKD)などの体質がある方も、検査の対象になることがあります3。
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③ 心配なら頭部 MRI を
当院の頭部 MRI・MRAで調べられます。気になる方は一度ご相談ください。
経過観察とは何をするのですか?
A. 定期的に頭部 MRI・MRA で瘤の大きさや形の変化を見ます。変化があれば治療を再検討します。
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① 定期的な画像で見守る
決まった間隔で頭部 MRI・MRAを行い、瘤の大きさや形に変化がないかを確認します。
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② 変化があれば治療を再検討
瘤が大きくなる・形が変わるなどの変化があれば、その時点で治療するかどうかを改めて検討します1。
治療は当院でできますか?
A. 診断・相談・経過観察は当院、治療は連携する専門病院で行います。橋渡しします。
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① 診断・相談・経過観察は当院で
院内の頭部 MRI・MRAで調べ、経過観察か治療かを一緒に検討します。経過観察は当院で継続できます。
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② 治療は連携する専門病院で
治療が必要と判断された場合は、設備の整った連携専門病院へおつなぎします。