脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤/のうどうみゃくりゅう)破裂する前に見つけて、経過観察か治療かを冷静に考える

未破裂脳動脈瘤のページ冒頭イラスト。『破裂する前に、見つけて防ぐ』『頭部MRI・MRAで、未破裂のうちに早期発見』の見出しとともに、診察室で医師がモニターに映った脳血管のこぶ(動脈瘤)を指し示して患者に説明している場面を描く。左下に『気づく・調べる・備える』の3つの行動を、虫めがね・MRI装置・盾のアイコンとともに添えている。
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未破裂脳動脈瘤とは脳の血管にできた「こぶ」で、まだ破れていないもの

脳の動脈の壁の一部が、こぶ(瘤=りゅう)のようにふくらんだ状態を脳動脈瘤といいます。「未破裂」とは、その瘤がまだ破れていない状態のことです。

未破裂脳動脈瘤の基本

なお、日本人だから特別に多いとは言えませんが、日本人は破裂率がやや高めとする報告もあります5

見つかるきっかけ と 破裂前のサイン多くは偶然の発見。まれに、瘤が神経を押して目のサインが出ることも(圧迫症状)

未破裂脳動脈瘤はふだん無症状のため、偶然見つかることがほとんどです。ただし、瘤が大きくなると、破裂する前に近くの神経を圧迫してサイン(圧迫症状)が出ることがあります。

見つかる主なきっかけ

破裂する前に「目のサイン」が出ることがあります

瘤が大きくなって近くの神経、とくに目を動かす神経(動眼神経)を圧迫すると、破裂する前でも片方のまぶたが下がる(眼瞼下垂〔がんけんかすい〕)・物が二重に見える(複視)・片方の瞳が大きくなる(散瞳〔さんどう〕)といったサインが出ることがあります4

破裂しやすさ(傾向)全体では1年に約1%弱。小さな瘤は低めです

未破裂脳動脈瘤が見つかっても、多くはすぐに破裂するわけではありません。日本人を対象とした研究(UCAS Japan)では、破裂する割合は全体で 1 年あたり約 1%弱でした。とくに小さな瘤(3〜4mm)は 1 年あたり約 0.3〜0.5%=低めです26

下の表は「どんな瘤が破れやすい傾向か」の方向性を示すものです(細かい数字の基準ではありません)

要素 破裂しやすい傾向
大きさ 大きいほど高い(7〜9mm は小さい瘤の約 3 倍、10mm 以上はさらに高い傾向)
場所 前交通動脈・後交通動脈などにできた瘤は高めの傾向(約 2 倍
表面がいびつ・小さな出っぱり(ブレブ、Bleb)があると高めの傾向(約 1.6 倍
部位・大きさ別の「1年あたりの破裂率」をくわしく見る(UCAS Japan)
瘤の場所\大きさ 3〜4mm 5〜6mm 7〜9mm 10〜24mm
中大脳動脈0.23%0.31%1.56%4.11%
前交通動脈高め0.90%0.75%1.97%5.24%
内頸-後交通動脈高め0.41%1.00%3.19%6.12%
脳底動脈先端0.23%0.46%0.97%6.94%
全体の平均0.36%0.50%1.69%4.37%

数字は瘤 1 個あたり「1 年に破裂する割合(%)」です。高め=同じ大きさでも破れやすい傾向の部位。25mm 以上の大きな瘤は、どの場所でも急に高くなります(全体で 1 年あたり約 33%)2

見つかったらどうする経過観察か治療か — 利益とリスクを天秤にかけて、冷静に決めます

未破裂脳動脈瘤が見つかったときの選択肢は、大きく 2 つです。A. 定期的に画像で見守る(経過観察)か、B. 破裂を防ぐ治療か。どちらが向くかは、いくつもの要素を総合して判断します。

A. 経過観察 見守る

定期的な画像で見守る

破裂のリスクが低い瘤では、定期的な MRI・MRAで大きさや形の変化を見守ります。立派な標準的選択のひとつです。

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瘤の大きさ・形に変化がないかを、決まった間隔で確認します。変化があれば、その時点で治療を再検討します。リスクの低い瘤に対しては、ガイドラインでも経過観察が妥当とされています14

  • 定期的な MRI・MRA で見守る
  • リスクの低い瘤の標準的選択
  • 変化があれば治療を再検討
B. 治療 破裂を防ぐ

破裂を防ぐ治療

破裂のリスクが相対的に高いと考えられる瘤では、破裂を防ぐ治療を検討します。治療法は次の章で中立に比較します。

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治療にもまれに合併症のリスクがあります。そのため「破裂を防ぐ利益」と「治療そのもののリスク」を天秤にかけて決めます。瘤の状態やご本人の状況によって、最適な選択は変わります14

  • 対象=破裂リスクが相対的に高い
  • 治療にもまれに合併症のリスク
  • 利益とリスクを比べて判断

何で決まるの?

経過観察か治療かは、これらの要素を総合して主治医・専門医が判断します。「何mm以上なら治療」といった単純な基準で決まるものではありません。

治療の種類(中立の比較)大きく「開頭手術」と「血管内治療(カテーテル)」の2系統

治療法は大きく 2 つに分かれます。頭を開ける① 開頭手術(クリッピング)と、頭を開けない② 血管内治療(カテーテル治療)です。②の中には、コイル塞栓術・フローダイバーター・WEB などがあります。

気になるカードをタップすると詳しい説明が開きます

① 開頭手術

クリッピング

頭の骨を開けて、瘤の根元を金属クリップで挟む方法です。古くから行われ、確実性が高いとされます。

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頭の骨を開けて瘤に直接アプローチし、根元をクリップで挟みます。くも膜下出血の治療時に見つかった瘤や、脳の表面に近い瘤などで選ばれることがあります1

  • アプローチ=開頭手術
  • 瘤の根元をクリップで挟む
  • 脳の表面に近い瘤などで選ばれやすい
② 血管内治療

カテーテル治療

足のつけ根などの血管からカテーテル(細い管)を入れ、頭を開けずに治療します。体への負担が比較的少ない治療法です。

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血管の中から瘤を処置する方法です。代表的には 3 種類あり、どれが向くかは瘤の形・場所などで変わります。

  • コイル塞栓術:瘤の中を、主にプラチナ(白金)でできた細い糸(コイル)で詰めて固める。最も広く行われています。
  • フローダイバーター(FD):網目状の筒(ステント)を瘤の根元の血管に置いて、瘤を徐々に固める。大きい瘤・入口の広い瘤・コイルが難しい部位で選ばれます。
  • WEB(ウェブ):瘤の中に網目状の小さな器具を留置して入口をふさぐ、比較的新しい方法です7。入口の広い分岐部の瘤などに向いています。

当院でできること院内の頭部MRI・MRAで「調べる→相談→必要なら橋渡し」

当院は院内に頭部 MRI・MRAがあり、未破裂の脳動脈瘤がないかを調べられます。気になる方・家族歴が心配な方はご相談ください。

  1. 調べる — 院内の頭部 MRI・MRA 当院の頭部 MRI・MRAで、未破裂の脳動脈瘤がないかを調べられます。検査は体への負担が少なく、放射線も使いません。
  2. 相談する — 経過観察か治療かを一緒に検討 見つかった場合は、瘤の大きさ・場所などから、経過観察か治療かを一緒に検討します。あわてて決める必要はありません。
  3. 備える — 必要なら連携専門病院へ橋渡し 治療が必要と判断された場合は、設備の整った連携専門病院へおつなぎします。経過観察は当院で継続できます。

気になる方は、当院の頭部 MRI・MRA でご相談ください

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  • 家族歴があり、脳動脈瘤がないか調べたい
  • 頭部 MRI・MRA で脳血管をチェックしたい
  • 他院で未破裂の脳動脈瘤を指摘された
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よくある質問

動脈瘤が見つかりました。すぐ手術ですか?
A. いいえ。即手術ではなく、経過観察も標準的な選択です。大きさ・場所・形などから一緒に検討します。
  1. ① 経過観察も標準的な選択 破裂のリスクが低い瘤では、定期的な MRI・MRAで見守る経過観察も標準的な選択です1
  2. ② 大きさ・場所・形などから判断 治療するかどうかは、瘤の大きさ・場所・形や、年齢・全身状態などを総合して主治医・専門医が判断します。
  3. ③ あわてて決める必要はありません 治療にもまれに合併症のリスクがあります。利益とリスクを比べて、納得できるまでご相談ください。
破裂する確率はどれくらいですか?
A. 集団全体では1年に約1%弱、小さな瘤は低めです。ただし個人差があり、これは自己判断の基準ではありません。主治医とご相談ください。
  1. ① 全体では1年に約1%弱 日本人の大規模研究(UCAS Japan)では、破裂する割合は全体で 1 年あたり約 1%弱でした。小さな瘤(3〜4mm)は約 0.3〜0.5%=低めです2
  2. ② これは「自己判断の基準」ではありません これは集団全体の統計的な傾向で、一人ひとりの破裂を予測するものではありません。実際の判断は画像を見た主治医・専門医とご相談ください。
家族に脳動脈瘤やくも膜下出血の人がいます。検査した方がいい?
A. 第一度近親者(親・きょうだい・子)に2人以上、または多発のう胞腎(ADPKD)などで検査を考えます。心配なら頭部 MRI をご相談ください。
  1. ① 「家族歴があれば全員」ではありません 第一度近親者(親・きょうだい・子)に 2 人以上いる場合などで、検査を考えます4
  2. ② 多発のう胞腎の方も対象に 多発のう胞腎(ADPKD)などの体質がある方も、検査の対象になることがあります3
  3. ③ 心配なら頭部 MRI を 当院の頭部 MRI・MRAで調べられます。気になる方は一度ご相談ください。
経過観察とは何をするのですか?
A. 定期的に頭部 MRI・MRA で瘤の大きさや形の変化を見ます。変化があれば治療を再検討します。
  1. ① 定期的な画像で見守る 決まった間隔で頭部 MRI・MRAを行い、瘤の大きさや形に変化がないかを確認します。
  2. ② 変化があれば治療を再検討 瘤が大きくなる・形が変わるなどの変化があれば、その時点で治療するかどうかを改めて検討します1
治療は当院でできますか?
A. 診断・相談・経過観察は当院、治療は連携する専門病院で行います。橋渡しします。
  1. ① 診断・相談・経過観察は当院で 院内の頭部 MRI・MRAで調べ、経過観察か治療かを一緒に検討します。経過観察は当院で継続できます。
  2. ② 治療は連携する専門病院で 治療が必要と判断された場合は、設備の整った連携専門病院へおつなぎします。

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つつみ脳神経外科クリニック
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