脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)FAST に気づいた瞬間から、時間との勝負
⚠ FASTに当てはまる方・突然の激しい頭痛の方はこちら
FAST脳卒中を見逃さないサイン
脳卒中は発症からの時間が勝負。下の4文字(FAST)のいずれか1つでも当てはまれば、脳卒中の可能性があります。本人ではなくご家族・周囲の方が気づくことが多いサインです。
FASTで脳卒中をチェック
- Face(顔)— 「いー」と笑ってもらい、片側の口角が上がらない/顔がゆがむ
- Arm(腕)— 両腕を前に挙げて10秒、片方が下がる/力が入らない
- Speech(言葉)— 短い文を復唱してもらい、ろれつが回らない/言葉が出ない
- Time(時間)— 1つでも当てはまれば、「いつから普段通りだったか」をメモして119(治療の時間制限を決める大切な情報になります)
1つでも当てはまれば119を最優先。救急車を呼ぶことに迷う場合は、当院(0942-42-1155)にすぐお電話ください。判断のサポートをします。
脳卒中の3つのタイプ
脳卒中は血管の「詰まる」か「破れる」かで、大きく3タイプに分かれます。タイプによって治療も予後も大きく違います。
気になるカードをタップすると詳しい説明が開きます
脳梗塞
7割
血管が詰まる
脳の血管が血栓で詰まるタイプ。脳卒中のうち約 7 割を占めます。発症から4.5 時間以内なら血栓を溶かす点滴、24 時間以内ならカテーテル治療を行えることがあります。
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脳の血管が血栓で詰まり、その先の脳細胞が酸素不足になります。4.5 時間以内のt-PA(血栓を溶かす点滴)と24 時間以内の血栓回収療法(カテーテル治療)が選択肢です。
- 突然の片麻痺・ろれつ不良・失語
- 原因:動脈硬化/心房細動
- 急性期:t-PA・血栓回収療法
- 再発予防:抗血栓薬/血圧管理/スタチン(コレステロール管理)
脳梗塞の詳しい解説へ
脳出血
2割
血管が破れる
脳の中の細い血管が破れるタイプ。高血圧が最大の原因で、突然の頭痛・嘔吐・片麻痺・しゃべりにくいなどで発症します。
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脳の中の細い動脈が破れ、脳の中に出血が広がります。出血量や場所や程度で治療が変わります。
- 突然の頭痛・嘔吐・意識障害・片麻痺・しゃべりにくい
- 主な原因:高血圧(最大)/アミロイド血管症
- 急性期:血圧管理・必要時に開頭手術
- 再発予防:徹底した血圧コントロール
脳出血の詳しい解説へ
くも膜下出血
迅速な治療が鍵
動脈瘤が破裂
脳の表面を走る血管にできた動脈瘤が破裂するタイプ。「バットで殴られたような」突然の激しい頭痛が典型で、迅速な専門治療が必要です。
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発症 1 か月以内の死亡が約 40%とされる、特に緊急性の高いタイプです。
- 突然の経験したことのない激しい頭痛
- 嘔吐・意識消失を伴うことも
- 急性期:脳動脈瘤クリッピング/コイル塞栓
- 未破裂動脈瘤の発見時はサイズ・部位で対応判断
くも膜下出血の詳しい解説へ
TIA(一過性脳虚血発作)「症状が消えた」を見逃さない
脳梗塞のサインが出たけれど、症状が短時間で消えた — それがTIA(一過性脳虚血発作)です。「治った」と思って放置すると、本物の脳梗塞に進むことがあります。
急性期治療の時間軸どの段階でも、できることがある
脳卒中は発症からの時間で治療の選択肢が変わります。119 で急性期病院に直行する超急性期と、症状が軽い・気づくのが遅れた方が当院を受診する亜急性〜慢性期の2 つのパターンがあります。どちらの段階でも「もう手遅れ」ということはありません。
パターン1:超急性期(発症 〜 4.5時間)
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発症 → 119(「いつから普段通りだったか」をメモ)
症状に気づいた時刻ではなく、「最後に普段どおりだった時刻」が治療の時間制限を決める起点になります。
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救急搬送・脳卒中センターでCT/MRI
出血か梗塞かを画像で判定。脳梗塞なら血管の閉塞部位も評価します。
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t-PA(アルテプラーゼ)静注療法発症から4.5時間以内
血栓を溶かす薬を点滴で投与します。「最後に普段通りだった時刻」から4.5 時間以内が適応の目安です1。
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機械的血栓回収療法原則6時間/画像評価で最大24時間
大きな血管が詰まっている場合、カテーテルで血栓を回収します。画像検査の結果によっては、最大 24 時間まで適応になります45。
パターン2:亜急性〜慢性(半日・1日・数日たって受診)
「症状は軽いが残っている」「TIAで一度消えたが心配」「数日たって受診を決めた」 — そんな方こそ、当院でしっかり診断する意味があります。すぐに血栓を取り除く治療の時間は過ぎていても、再発予防は今日から始まります。
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来院・問診・神経学的診察
いつから・どんな症状・経過を整理。手足の動き・感覚・話し方・歩き方を確認します。
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MRI で脳と血管を評価15分/痛みなし
出血か梗塞かを画像で判定。脳梗塞なら血管の閉塞部位も評価します。
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診断・連携病院へ紹介/搬送当日ご説明
脳卒中・TIAと診断したら、連携している地域の急性期病院(脳卒中センター)へ紹介します。
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退院後の再発予防フォロー
急性期病院を退院されたあとは、当院で抗血栓薬・血圧管理・スタチン(コレステロール管理)の内服管理、危険因子のモニタリング、定期MRIを継続します。
脳卒中の危険因子管理できるものから
脳卒中の多くは、生活習慣病の延長線上に起きます。一つひとつの数値を整えることが、発症予防・再発予防の柱です。
高血圧
単一最大の危険因子。目標は130/80 mmHg 未満(個別化)。
心房細動
心臓にできた血の塊が脳の血管を詰まらせる「心原性脳塞栓」の原因。抗凝固薬(DOAC等)で予防します。
糖尿病
動脈硬化を介して脳梗塞のリスクを高めます。HbA1c の目標は個別化(一般に7% 未満)。
脂質異常症
LDLコレステロール高値が動脈硬化を進めます。スタチンによる予防療法が確立しています。
喫煙・過度の飲酒
喫煙は動脈硬化を悪化させます。一方、1〜5 年の禁煙でリスクが大きく低下します。
運動不足・肥満・睡眠時無呼吸
リスクを下げるには週 150 分の中強度運動・適正体重・睡眠時無呼吸の治療が有効です。
再発予防こそ命綱久山町研究が示す現実
脳卒中は再発する病気です。福岡県久山町の長期コホート研究では、治療を受けている患者さんでもなお再発が多いことが分かっています3。だからこそ、薬・血圧・生活の三本柱を続ける意味があります。
当院の役割紹介の入口、長期フォローの拠点
当院は超急性期治療を直接行う施設ではありませんが、「正確な診断」と「退院後の長期フォロー」という、脳卒中診療の入口と出口を担います。
① 入口
初診脳卒中の診断 → 連携病院へ紹介・搬送
症状が軽い・時間が経った方が来院されたとき、当院で診察、MRIにより診断し、連携している地域の急性期病院(脳卒中センター)へ紹介します。
- 来院当日のMRIで診断
- 急ぐ場合は当院から救急要請を手配
- 紹介状+画像をお渡しし、スムーズな入院加療へ
② 出口
退院後の再発予防の長期フォロー
急性期病院を退院されたあと、再発予防の内服管理と危険因子のモニタリングを継続的に担当します。お薬・生活・ご家族の介護相談まで一貫して対応します。
- 再発予防薬の管理(抗血栓薬・血液サラサラの薬)
- 危険因子のモニタリング(血圧・血糖・脂質)と管理薬の調整
- 定期MRIでのフォロー
- 生活指導(禁煙・節酒・減塩・運動・睡眠)
- 介護保険・地域包括支援センターとの連携
脳卒中と症状が重なる、または再発・後遺症として注意が必要な病気があります。気になる症状があれば、関連ページもあわせてご覧ください。
危険サインすぐに119番
下記の症状はためらわず119番・救急要請を
- FAST(顔のゆがみ/腕の脱力/ろれつ不良)に1つでも当てはまる
- 突然の経験したことのない激しい頭痛(くも膜下出血の可能性)
- 急に意識がもうろうとする/けいれんが止まらない
- 片側の視野が急に欠ける/物が二重に見える
- 突然の強いめまいで真っすぐ歩けない/立てない
脳卒中が疑われるときの行動チャート
緊急
すぐに119番
- FAST(顔・腕・言葉)に1つでも該当
- 突然の経験したことのない激しい頭痛
- 意識がもうろう/けいれんが止まらない
- 突然の片側麻痺・視野欠損・複視
119に電話する
迷ったら
当院に電話相談
- 症状が消えた(TIAの疑い)— 24時間以内に受診
- 119を呼ぶか迷う軽い症状
- 発症から半日〜数日たって不安が残る
0942-42-1155 に電話
相談
予約して受診
- 退院後の再発予防フォロー(内服・血圧・MRI)
- 家族歴があり脳卒中リスクが心配
- 健診で脳動脈瘤・無症候性病変を指摘された
WEB予約・アクセス
よくある質問
TIA(一過性脳虚血発作)で症状がすぐ消えました。様子見でいいですか?
様子見は危険です。TIA は脳梗塞の前ぶれで、放置すると数日のうちに本物の脳梗塞へ進むことがあります。「症状が消えたから大丈夫」が最大の落とし穴です。
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① まずは24 時間以内に必ず受診
TIA 後の48 時間以内に約 5%、3 か月以内では約 10〜15%が脳梗塞へ進行します1。症状がすでに消えていても、時間との勝負は続いています。
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② 当院でMRI + 血液検査で原因を特定
小さな脳梗塞や血管の狭窄・心房細動など、TIA の背景にある病態を1 回の受診で評価します。MRI は15 分・痛みなしで受けられます。なお、めまい・複視・構音障害だけが単独で出る場合も TIA の可能性があり、油断は禁物です。
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③ その日から再発予防治療を開始
原因に応じて抗血小板薬・抗凝固薬・血圧管理・スタチン(コレステロール管理)を開始し、必要があれば連携病院へ紹介します。早く始めるほど次の脳梗塞を防げます。
健診で脳動脈瘤が見つかりました。どうすればいいですか?
対応はサイズ・部位・形状で変わります。すべての動脈瘤に治療が必要なわけではありません。専門医がリスクとメリットを評価し、患者さんごとに方針を決めます。
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① 5mm 未満で形が整っている場合 → 経過観察
破裂リスクが低く、定期 MRA で大きさや形の変化を追いかけることが多いです。半年〜1 年ごとのフォローで安全を確認していきます。
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② 5〜7mm 以上・不整形・特定の部位の場合 → 治療検討
破裂リスクが上がるサイズ・形・部位(前交通動脈・後交通動脈など)の動脈瘤は、開頭クリッピング術 / 血管内コイル塞栓術が選択肢になります。
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③ 当院で MRA 再評価 → 連携病院へ紹介
当院で MRA を撮り直して動脈瘤の特徴を確認し、必要に応じて連携している脳神経外科専門病院へ紹介します。判断に迷うときも一緒に考えますのでご相談ください。
再発予防の内服はずっと続けるのですか?
原則として継続します。原因のタイプに合わせた薬を、危険因子の管理と組み合わせて長期に飲み続けることで再発を抑えます。自己判断での中止は再発リスクを大きく上げるので避けてください。
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① 動脈硬化が原因の脳梗塞 → 抗血小板薬
血小板が固まりにくくなる薬で、血栓ができにくくします。アスピリン・クロピドグレルなどを長期継続します。
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② 心房細動による心原性脳塞栓 → 抗凝固薬
心臓内でできた血の塊が脳へ飛ぶのを防ぎます。DOAC(直接経口抗凝固薬)等を継続します。
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③ 危険因子の管理薬も並行して長期継続
血圧・コレステロール・血糖の管理薬を、それぞれの数値の状態に合わせて続けます。再発予防は「薬 1 本」ではなく組み合わせで効きます。
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④ 副作用や生活変化があれば必ずご相談を
出血・あざ・胃の不快感など、気になる症状があれば調整します。勝手な中止は厳禁。減量・変更・継続の判断は一緒に決めましょう。
血圧の目標値はどれくらいですか?
脳卒中後は130/80 mmHg 未満が目安です(個別調整あり)。
- 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕で推奨される目標値1
- 家庭血圧は朝晩2回・1分以上座って測定するのが基本
- 高齢・腎機能低下・起立性低血圧の方は無理のない範囲で個別化します
片側の口角が下がっていて顔がゆがみます。脳卒中ですか?それとも顔面神経麻痺(Bell麻痺)ですか?
最大の見分けポイントは「額のしわ寄せができるか」です。額にしわが寄らない・閉眼できない場合は末梢性(Bell 麻痺・Ramsay Hunt 症候群)を疑います。下の手順で確認してください。
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① 額のしわが寄り、閉眼できる+手足の麻痺やろれつ不良を伴う → 中枢性(脳卒中疑い)
FAST(顔・腕・言葉・時間)に当てはまるならすぐ 119 番。脳卒中は時間との勝負で、t-PA(血栓を溶かす点滴)は発症 4.5 時間以内が目安です。
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② 額のしわが寄らない・閉眼できない → 末梢性(顔面神経麻痺)
耳介後部の痛み・耳の水疱(Ramsay Hunt 症候群)を伴うこともあります。顔面神経麻痺は発症 3 日以内のステロイド+抗ウイルス薬の開始が予後を左右します。詳しくは顔面神経麻痺ページをご参照ください。
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③ 判断に迷う場合は当院で MRI + 神経学的診察で鑑別
顔の動きの左右差・額のしわ・閉眼・手足の麻痺・構音を診察し、必要に応じて MRI で脳卒中を評価します。当日中に方針までお出しします。
家族が脳卒中で介護が必要になりました。どこに相談できますか?
当院・地域包括支援センター・ケアマネジャーの3 者連携でサポートします。「医療」「介護保険の手続き」「日々のサービス調整」をそれぞれの専門に分担して、ご家族の負担を分散します。
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① 当院(医療面)
再発予防の内服管理・MRI 定期評価・嚥下や歩行の評価を担当します。再発を防ぎながら、生活機能の変化を継続的に確認します。
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② 地域包括支援センター(介護保険の窓口)
介護保険の申請・サービス調整の入口です。要介護認定の手続きやサービス事業者との橋渡しを無料で相談できます。
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③ ケアマネジャー(日々のコーディネート)
通所リハ・訪問リハ・福祉用具・ショートステイなどの組み合わせを設計し、ケアプランとしてまとめます。生活の変化に合わせて調整も行います。
ご家族の介護負担も含めて一緒に考えます。お気軽にご相談ください。